ロボット配送サービス「BRING」 写真=Kakao Mobility

Kakao Mobilityは5月13日、異なるメーカーのロボットを統合運用する「KM Autonomous Agent Platform」を公開した。配車・管制分野で培った技術をロボット運用に展開し、メーカーに依存しないプラットフォームの構築を目指す。

同社は同日、板橋の社屋「アジト」で記者向けセミナーを開き、同プラットフォームの技術構造と事業方針を説明した。

未来事業プラットフォームリーダーのカン・ウンギュ氏は、「ロボットのハードウェア技術が均質化し、メーカー間の性能差が縮小する中、業界の焦点は高性能なロボットの開発そのものから、現場に投入された多数のロボットを標準化された仕組みで運用・制御することへ移っている」と述べた。

同社は、こうした事業に注力する背景として、実運用で確認した成果を挙げた。2024年には自律走行ロボット企業のRobotisと協業し、国内の主要ホテルでロボット配送の商用モデルを運用してきたという。

同社によると、RobotisはKakao Mobilityのプラットフォーム導入後、ロボットの1日当たり平均稼働率が導入初期に比べ約8倍に上昇した。さらに、プラットフォームベースのQR注文システムを組み合わせた結果、ルームサービス売上は約3倍に増えたとしている。

適用先も広がっている。Kakao Mobilityは板橋アルファドームのオフィスビルで飲料配送サービスを本格展開した後、複数のホテルや順天郷大学病院などへ導入を拡大した。

順天郷大学病院では、看護師が1時間に2回、地下の薬局から患者向けの薬を箱単位で運び、仕分けしていた反復作業をロボットが代替している。ホテルでは24時間無料のルームサービスに切り替えたことで、人件費の削減効果も確認されたという。

一方で同社は、ロボットの性能向上とサービス運用の円滑化は別の問題だとみている。ロボット開発リーダーのオ・ドゥヨン氏は、「ロボットがどれだけ速く移動できるか、どれだけ正確に物をつかめるかだけでは、サービスはうまく回らない」と話す。

同氏は、「現場にはエレベーターがあり、人もいて、想定外の事象も起きる。複数のロボットが同時に動く中で、目的地に着いても受取人が不在だった場合や、配送途中でロボットが停止した場合に、誰がどう判断するのかは、ロボット単体の知能ではなく、サービス実行の仕組みの問題だ」と説明した。

この領域でKakao Mobilityが担うのが、「オーケストレーションレイヤー」の役割だという。プラットフォームは4つの中核技術で構成される。サービス要求をロボットが実行可能な単位に抽象化する「Task」、異機種ロボットを標準APIで接続する「Command Interface」、走行中の故障や通信障害が発生した際に別のロボットへ任務を振り替える「Reallocation」、建物インフラや既存システムとの連携を担う「Integration Backbone」だ。

仕組みは、Kakao TのAI配車ロジックに近い。乗客がタクシーを呼ぶと、周辺で稼働可能な車両の中から到着予測時間や呼び出し情報を基に最適な車両を割り当てるのと同様に、ロボットへのサービス要求が入ると、利用可能なロボット群の中から、目的地までの距離、バッテリー残量、進行中の作業量、当該Taskの処理可否などを踏まえて最適な機体を選定する。

オ氏は、「Kakao Mobilityが蓄積してきた配車技術のDNAが、ロボットプラットフォームにも生きている」と述べた。その上で、「この構造なら、異なる種類の自律走行エージェントが加わっても同じ形で運用できる」と説明した。

また同社は、ロボットメーカー自らが統合プラットフォーム事業に参入するには構造的な障壁があるとみている。カン氏は、「Teslaのロボット、Alibabaのロボット、Robotisの配送ロボットが同じ病院に入っていると仮定すると、どこか1社が統合プラットフォームを掲げ、他社がそれに従う構図が必要になるが、現実には難しい」と指摘した。

その上で、「ロボットを製造していないKakao Mobilityのプラットフォームに連携する方が、むしろシンプルだ」と強調した。

もっとも、事業拡大に向けた課題も残る。具体的な収益モデルやグローバル展開の計画は、現時点では固まっていない。Kakao Mobilityの関係者は、サウジアラビアなど海外進出の可能性について、「継続的に検討しているが、現時点で確定した内容はない」と述べた。

市場規模の面では、ホテルや病院などの屋内サービスより、生産ラインなどB2B領域の方が大きいとの見方もある。これに対し同社は、「移動する清掃ロボット、配送ロボット、ロボットアーム、フォークリフト、トラックが統合的に導入される領域では、プラットフォームが不可欠になる」と説明した。

今後は3つの方向で展開を進める。清掃、案内、大型物流ロボットへと対象エージェントを広げるほか、建物インフラにとどまらず、企業のERPシステムや物流機器との連携も拡大する。さらに、例外処理の自動化も高度化していく計画だ。

カン氏は、「プラットフォームの価値は最終的に接続から生まれる」とした上で、「接続されるエージェントやシステムが増えるほど、プラットフォームはより強力になる」と述べた。

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