ハンタウイルスの感染拡大への警戒感を背景に、COVID-19のパンデミック期に買われた医療・ワクチン関連株が再び市場で注目を集めている。BeInCryptoが12日(現地時間)に報じたところによると、Moderna、Emergent BioSolutions、BioNTechの3社は、2026年5月に入ってそれぞれ異なる材料で見直しの動きが出ている。
最も強く反応しているのはModernaだ。株価は5月1日の43.69ドルから11日には59.45ドルまで上昇し、上昇率は36.08%に達した。出来高も増加しており、市場では空売りの買い戻しではなく、新規の買いが入ったとの見方が出ている。
上昇の背景には、複数の好材料がある。2026年1〜3月期の売上高は3億8900万ドル(約584億円)と前年同期比260%増だった。これに加え、米陸軍感染症医学研究所とのハンタウイルスワクチン開発協力の発表や、mRNA-1010インフルエンザワクチンの第3相試験データが「New England Journal of Medicine」に掲載されたことも支援材料となった。
テクニカル面では、日足終値が54.91ドルを上回れば「カップ・ウィズ・ハンドル」の上放れシグナルとされ、60.96ドルを超えれば強気基調が一段と鮮明になるとの見方がある。一方、51.17ドルを割り込むと強気シナリオは揺らぎ、43.69ドルを下回ればパターンは崩れると分析されている。
これに対し、Emergent BioSolutionsは本格反発よりも、まず底入れを確認できるかが焦点になっている。同社は2021年、ボルティモア・ベイビュー施設でJohnson & JohnsonのCOVID-19ワクチンを4億8000万ドル(約720億円)規模で生産したが、1500万回分の汚染事故以降、株価には売り圧力が続いてきた。
株価は年初の14.07ドルから7.53ドルまで下落し、下落率は44.36%となった。3月に示した通期売上高見通しは7億2000万〜7億6000万ドル(約1080億〜約1140億円)で、市場予想を下回った。1〜3月期売上高も1億5610万ドル(約234億円)と前年同期比30%減だった。チャート上では逆ヘッド・アンド・ショルダーを形成する動きとされるが、8.33ドルを割ると形状が弱まり、7.53ドルを下回れば反発シナリオは崩れる。反対に、10.02ドル超で引ければ上放れ確認のシグナルになるという。
BioNTechについては、業績低迷が続く一方で、逆張りの余地に関心が向かっている。同社はPfizerと共同でCOVID-19ワクチン「Comirnaty」を開発し、2021年には165カ国に26億回分を供給した。年間売上高は189億8000万ユーロに達している。
もっとも、足元の株価は弱含みのパターンに近い。3月以降はヘッド・アンド・ショルダーを形成する動きとなっており、ネックラインは92.39ドルに設定されている。5月5日に発表した1〜3月期決算では、1株当たり純損失が2.28ドル、売上高は1億3800万ドル(約207億円)で、前年同期比28.21%減だった。一方、通期売上高見通しは23億2800万〜26億7800万ドル(約3492億〜約4017億円)に据え置いた。
オプション市場では、プット・コール比率が出来高ベースで2.23倍、未決済建玉ベースで1.15倍となっており、弱気ポジションの積み上がりが意識されている。このため、92.39ドルの水準を維持できればショートスクイーズにつながる可能性があるとの見方が出ている。逆にこの支持線を割り込めば、86.64ドル、79.31ドル、72.36ドルまで下値余地が広がる可能性がある。100.47ドルを上抜ければ逆張りシナリオが動き出し、113.55ドルを超えれば弱気パターンは完全に否定されるという。
今回の相場動向は、ハンタウイルス関連の材料が単なる短期テーマにとどまらず、パンデミック対応、mRNAプラットフォーム、生物防衛需要、投資家のポジション変化といった要素まで織り込みながら市場を刺激している点で注目される。同じワクチン関連株でも、Modernaは業績と提携発表を追い風に先行して上昇しているのに対し、Emergent BioSolutionsは底入れ確認、BioNTechは弱気局面からの転換が今後の焦点となる。