SAPは12日(現地時間)、年次会議「Sapphire 2026」で「自律型エンタープライズ(Autonomous Enterprise)」構想を発表した。SAP Business AI Platformを中核に据え、データや業務プロセス、AIを統合し、生成AIアシスタント「Joule」を軸に業務AIエージェントの活用を広げる。
同社によると、自律型エンタープライズは、単にAIエージェントを並べる考え方ではない。人とAIが協働する働き方そのものを再設計することに主眼を置く。
その基盤となるのが「SAP Business AI Platform」だ。SAP BTP、Business Data Cloud、Business AIを単一の環境に統合し、AIエージェントが企業運営に必要なデータや業務プロセス、統制基盤にアクセスできるようにする。
このプラットフォームの中核を担うのが、2023年に発表した生成AIアシスタント「Joule」だ。ビジネスユーザーはAIチャット画面から依頼するだけで、50超の業務領域別Jouleアシスタントを利用できる。対象領域は、財務、サプライチェーン管理、支出管理、人事管理、顧客エンゲージメントの5分野だ。
SAP Business Suiteの最高製品責任者(CPO)を務めるマノズ・スワミナタン氏は、「Jouleが文脈を理解し、適切なアシスタントにつなぐため、通常はエージェントカタログを個別に探す必要はない」と説明した。特定のエージェントを指定したい場合は、@メンション方式で呼び出せるという。
あわせてSAPは、新たに「Joule Studio」も投入した。顧客が自社向けに最適化したエージェント型AIの活用環境を構築できるようにする。開発にはPythonやTypeScriptなど任意の言語を利用でき、Claude CodeやCursorといったツールにも対応する。
スワミナタン氏は、専門開発者だけでなく、開発経験のないユーザーでも対話型インターフェース上で意図を伝えれば、システムがコードを生成すると説明した。要件定義、技術仕様の作成、コーディング、テストまでを自社のソフトウェア開発ライフサイクル内で完結し、完成したアプリを実装できるとしている。