Bitcoinが8万ドル(約1200万円)台を回復した。ただ、アルゴリズム取引企業のWintermuteは、今回の上昇を健全な上昇局面とはみていない。現物市場の買い需要よりも、デリバティブ市場で積み上がったショートポジションの清算が相場を押し上げた可能性が高いと分析している。
Cryptopolitanが12日(現地時間)に伝えたところによると、Wintermuteは直近のBitcoin高について、現物主導の資金流入ではなく、ショートスクイーズの影響が色濃いと指摘した。1月以来初めて8万ドルを上回ったものの、上昇基盤はなお脆いとの見方だ。
過去1カ月で、Bitcoin先物の未決済建玉は480億ドルから580億ドルへと約100億ドル増えた。一方、Binance NewsがNS3.AIのデータとして伝えたところによると、現物の出来高は過去2年で低水準に落ち込んでいる。
Bitcoinが7万ドル(約1050万円)近辺に近づいた局面では、上値の重さを見込んだ売り方がショートを積み増した。しかし、その後も価格が上昇したことでショートの清算が進み、買い戻しが加速。Bitcoinは8万ドルを突破し、200日移動平均線を上回る8万3000ドル(約1245万円)前後まで上昇した。
Wintermuteは、永久先物の資金調達率(ファンディングレート)がなお平常水準に戻っていない点にも注目している。さらなる強制清算が発生する余地が残っているという見方だ。
同社は、清算に伴うショートカバーと、現物Bitcoinを積み増す実需は切り分けてみる必要があるとも指摘した。現物主導の需要が伴わなければ、今回のラリーは急速に失速する可能性があるとしている。
一方で、中長期では支援材料もある。Bitcoin現物ETFには直近で合計6億2300万ドル(約935億円)が流入した。
このうちMorgan StanleyのBitcoin現物ETFは、設定から1カ月間、純流出を出さずに1億9400万ドル(約291億円)を集めた。暗号資産取引所で保管されるBitcoin残高も、7年ぶりの低水準まで減少している。
もっとも、こうした長期指標が短期の価格構造の不安定さをすぐに解消するわけではない。Wintermuteは、足元の上昇はデリバティブ市場でのポジション調整に支えられており、短期リスクを打ち消すには力不足だとみている。
そのため、8万5000ドル(約1275万円)までの一段高はあり得るものの、現水準での新規買いはリスクリワードの妙味に乏しいとの見方を示した。
短期の変動要因としては、米国の消費者物価指数(CPI)を挙げた。インフレ指標が市場予想を上回れば、インフレ懸念が再燃し、暗号資産相場全体の重荷になり得るという。
この日発表された4月のCPIは前年同月比3.8%上昇し、市場予想を小幅に上回った。
もう一つのリスク要因として、WintermuteはFRB議長人事を挙げた。ケビン・ウォッシュ氏を巡る議長指名手続きが、金融政策を巡る不透明感を強め、市場の変動性を高める可能性があるとしている。
テクニカル面では、Bitcoinの相対力指数(RSI)も過熱圏に急接近している。初期のショートスクイーズが一巡した後、現物市場で追加需要が入らなければ、短期調整圧力が強まる可能性が高いという。
次の焦点は、現物の買い需要が実際に追随するかどうかだ。ETFへの資金流入や取引所残高の減少は長期的な支援材料だが、Wintermuteは足元のラリーの土台は弱いとみている。強気基調を維持するには、デリバティブ市場での清算ではなく、現物主導の需要拡大が確認される必要がある。