経済学者のピーター・シフ氏(写真=ウィキメディア)

経済学者のピーター・シフ氏は、マイケル・セイラー氏が推進するStrategyの優先株「STRC」を巡り、米証券取引委員会(SEC)に調査を求めた。STRCについて、退職者向けの安定商品として売り出されている一方、実際にはStrategyのビットコイン保有に大きく左右される高リスクの商品だと批判している。

ブロックチェーンメディアBeInCryptoが12日(現地時間)に報じた。シフ氏はSNSへの投稿で、STRCを「Strategyが運営する典型的な中央集権型ポンジ・スキームだ」と非難。ビットコインそのものへの批判と、STRCの設計に対する問題提起は切り分けて考えるべきだとの立場も示した。

発端は、セイラー氏がシフ氏の批判を暗号資産業界全体への敵意として受け止めたことにある。これに対しシフ氏は、STRCの問題はそれとは別だとして批判を強めた。

シフ氏が主な論点として挙げたのは、STRCの収益構造だ。分配金の原資が事業利益や営業キャッシュフローではなく、新規資金の流入に依存しているとの見方を示した。

その上で、STRCには自律的な収益基盤がなく、セイラー氏がうたう「資産保全」や「安定的な所得源」としての役割は果たせないと指摘した。

批判は、セイラー氏の宣伝表現にも及んでいる。セイラー氏はこれまでSTRCについて、コントロール可能な分配金を基盤とする、安定収入に適した証券であるかのように説明してきたという。

とりわけシフ氏が問題視したのは、元本の毀損を避けたい退職者にとっても適した商品だと受け取れる発言だ。こうした説明はSECのマーケティング規則に抵触する可能性があると主張している。

STRCの主なリスクとしては、Strategyが大量に保有するビットコインに起因する価格変動を挙げた。見かけ上は固定利回り型の商品に見えても、実態はレバレッジのかかったビットコイン・エクスポージャーに近く、安定的なキャッシュフローよりもビットコイン価格への依存度が高いとの見方だ。

シフ氏は以前からStrategyの普通株についても詐欺的だと批判してきた。今回は優先株プログラムにまで対象を広げ、問題提起を強めた格好だ。

今回の応酬は、ビットコインを財務資産として保有する企業全体にも波及する可能性がある。報道によると、Strategyは足元でビットコインの買い増しペースを鈍らせており、アダム・バック氏のCapital Bなど競合勢も同様の資金調達に動いているという。

Strategyは企業として世界有数のビットコイン保有量を持つとされる。このため、STRCを巡る規制判断が示されれば、影響は同社にとどまらない可能性がある。優先株や類似証券を通じてビットコイン・エクスポージャーを提供する手法全般に、波紋が広がるとの見方も出ている。

シフ氏は、SECが対応するまで問題提起を続ける考えも示した。焦点は、ビットコイン保有企業が販売する収益型証券がどのようなリスクを内包しているのか、またそのリスクが投資家にどこまで明確に説明されているのかという点に移りつつある。

シフ氏はSNSで次のようにも述べた。

「SECはなぜ、@Saylorによる『$STRCは低リスクの資産保全と所得を主目的とし、元本を失うリスクを負いたくない退職者に適している』といった公開コメントを容認しているのか。これはSECの反詐欺規則およびマーケティング規則に違反している」

キーワード

#ビットコイン #SEC #Strategy #STRC #優先株 #暗号資産 #マーケティング規則
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.