韓国の電池大手3社の2026年1〜3月期業績は、そろって低調な内容となった。LG Energy Solutionは営業損失2078億ウォン、Samsung SDIは営業損失1556億ウォンを計上し、SK Onも赤字が見込まれている。ただ、市場では1〜3月期を業績の底とみる見方が強く、4〜6月期以降はESSの売上拡大とEV需要の持ち直しを背景に、収益回復が進むとの期待が出ている。
LG Energy Solutionの1〜3月期売上高は6兆5550億ウォンで、前四半期比1.2%増だった。一方、営業損益は2078億ウォンの赤字に転落した。IBK投資証券によると、先端製造生産税額控除(AMPC)の会計表示方法の変更に加え、北米の完成車メーカーからの補償金受領が売上を押し上げ、市場予想を6930億ウォン上回った。
ただ、利益面ではESSの固定費負担に加え、北米・欧州向けEV販売の不振が重荷となった。北米OEMからの補償金も関連費用として全額反映され、営業利益は市場予想を下回った。
未来アセット証券は、北米ESSの立ち上げ初期コストで収益性の改善が鈍ったうえ、ESS関連の一時引当金1000億ウォンを計上したことが響いたと分析した。AMPCは1〜3月期に1897億ウォンを計上し、このうち95%をESSが占めた。
もっとも、4〜6月期には黒字転換が見込まれている。IBK投資証券は、同社の4〜6月期売上高を7兆3360億ウォン、営業利益を3120億ウォンと予想する。北米の新たなESS拠点「ランシング」と「UC2」が同四半期に量産へ入ることで、ESS売上高は前四半期比50%増えるとみている。
全社売上高に占めるESSの構成比は、1〜3月期の26%から10〜12月期には47%まで上昇するとの見通しだ。
Samsung SDIの1〜3月期売上高は3兆5764億ウォンで、前四半期比7.3%減となり、営業損益は1556億ウォンの赤字だった。前四半期に一時補償金を受け取った反動で、EV向け売上高が前四半期比20%減少した影響が大きかった。これを除けば、売上高は小幅増だったとの見方もある。
未来アセット証券によると、EV事業部の赤字率はマイナス10%水準まで大きく縮小した。ESS事業はAMPCを除いても営業黒字を確保したと推定している。
回復を支えるのはEVとESSの両輪だ。4〜6月期からは、欧州向けの現代・起亜の量販モデル「IONIQ 3」「EV2」向けにP6ハイニッケル製品の出荷が始まり、EV事業も回復局面に入るとみられている。
北米ESSについては、2028年までの受注を確保した。年末時点のESS生産能力は42GWhで、このうち北米が29GWhを占める。IBK投資証券は、このうち7.6GWh分を基に、2026年のAMPCを3591億ウォンと見込み、10〜12月期には9四半期ぶりの黒字転換を予想している。
教保証券は、バックアップ電源装置(BBU)市場が2026年に70%成長するとの見方を示したうえで、クラウドサービス事業者向けの直接供給チャネルへの切り替えも採算改善要因になると評価した。
3社の中で最も厳しい状況にあるのがSK Onだ。1〜3月期の世界電池市場シェアは3.7%と、前年同期比で0.8ポイント低下し、順位も4位から7位に後退した。設立後の累計営業損失は4兆ウォンに達している。負債比率は2026年上期に251%まで再上昇し、純有利子負債は2025年末時点で約20兆ウォン規模に膨らんだ。
3社に共通する打開策は、ESSと北米生産の立て直しだ。
外部環境の悪化も相次いだ。Volkswagenはテネシー州チャタヌーガ工場で「ID.4」の生産を終了し、内燃機関SUVへ軸足を移した。Nissanもミシシッピ州キャントン工場でのEV生産計画を無期限で延期しており、これに伴い、2025年3月に締結した15兆ウォン規模(99.4GWh)の電池供給契約の見直しは避けられない情勢となっている。
Fordとの合弁会社「BlueOvalSK」は、2025年12月に運営方式が分離された。これにより、SK Onはテネシー工場を単独で運営する体制に移行し、その過程で1512人を削減した。2026年3月には、SK Battery Americaがジョージア州工場で従業員の37%に当たる958人を整理解雇した。
SK Onも再建の軸はESSに置く。2026年10月から、SK Battery Americaのジョージア第2工場でESS向けリン酸鉄リチウム(LFP)電池の量産を始める計画だ。第1工場は稼働を停止しているものの、会社側は受注状況に応じて即時の再稼働が可能との立場を示している。
韓国・瑞山工場には587億ウォンを投じ、年産3GWhのESS向けLFPラインを新設する。
SK Onのイ・ヨンウク代表取締役社長が2026年に掲げたESS受注目標は20GWh超だ。現在、フラットアイアンなどと10GWh超の供給協議を進めている。iM証券は、米国での太陽光発電設備の導入拡大や、AIデータセンター向けオンサイト発電需要の増加を背景に、6.2GWh分の優先交渉案件が成約に至る可能性が高いとみている。
欧州では2026年3月、SK Onの電池を搭載したEVの販売が前年同月比29%増加し、ハンガリー・コマーロム第2工場はフル稼働の水準に入った。
今後の焦点は、ESS新設ラインの売上寄与がどの程度の速さで進むか、そして北米生産拠点の稼働正常化がいつ実現するかだ。証券業界では、各国のエネルギー自立政策を巡る不確実性の高まりを受け、ESS需要見通しがさらに上方修正される可能性もあるとみている。
一方で、米国の自動車関税25%、補助金廃止後の完成車メーカーによるハイブリッド車・内燃機関車への回帰、中国CATLのシェア拡大は、黒字転換の時期を遅らせるリスク要因として挙げられている。