写真左からペ・ギョンフン副首相、ダリオ・アモデイAnthropic CEO(写真=ペ・ギョンフン副首相のSNSより)

韓国科学技術情報通信部が、Anthropicのサイバーセキュリティ協議体「Project Glasswing」への参加を打診していることが分かった。傘下のAI安全研究所を通じて協議を進めているが、米政府の慎重姿勢に加え、Anthropicとの覚書(MOU)が未締結であることも重なり、同協議体で限定提供される「Claude Mythos Preview」へのアクセス実現はなお不透明だ。

同部は11日、外交部、国家情報院、金融委員会、AI安全研究所、韓国インターネット振興院(KISA)、金融保安院とともに、Anthropicのマイケル・セリト グローバル政策総括らとAI・サイバーセキュリティ協力に関する会合を開いた。韓国側からはリュ・ジェミョン第2次官、キム・ミョンジュAI安全研究所長、オ・ジニョンKISA本部長らが出席した。

会合では、Glasswingを含む包括的な協力の意向をAnthropic側に伝えた。韓国の企業・機関と連携したサイバー分野での共同対応を提案したほか、脆弱性の公表に先立つ情報共有も要請した。あわせて、AI基本法を含むAIの安全性・信頼性に関する政策の実施方針や、AI安全研究所とAnthropicの連携についても意見を交わした。

同部関係者は「韓国はEUに続いて包括的なAI法制を整備した国で、グローバル企業の関心も高い」とした上で、「その実施プロセスで韓国が貢献できることを示した」と説明した。

GlasswingはAnthropicが4月7日に立ち上げたサイバーセキュリティ協議体だ。最新AIモデル「Claude Mythos Preview」を活用し、参加企業・機関が共同で脆弱性を検知し、防御力の向上につなげる枠組みとして運営されている。AWS、Microsoft、Google、Apple、NVIDIAなど、発足時のパートナー12社を含む約50の企業・機関が参加している。

AnthropicはMythosをGlasswing参加者に限定して提供しており、米国外の政府系機関で利用が認められているのは英国のAI安全研究所のみだ。英国は2024年に米国とAI安全協力に関するMOUを締結している。

韓国科学技術情報通信部も、傘下のAI安全研究所を通じてGlasswing参加を打診している。ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は4月28日、自身のSNSで「政府もサイバーセキュリティのパラダイム変化に迅速に対応する」とした上で、「AI安全研究所を中心に、AnthropicのGlasswingのようなグローバル協力への参加も深く検討する」と投稿していた。

ただ、参加実現のハードルは低くない。海外メディアによると、ホワイトハウスはMythosの影響力の大きさを理由に、Glasswingの拡大に慎重な姿勢を示している。AnthropicはGlasswingを巡り、米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ局(CISA)やAI標準革新センター(CAISI)などと継続的に協議していることも明らかにしている。こうした状況から、業界ではAnthropicが独自判断で参加国や参加企業を広げるのは容易ではないとの見方が出ている。

■MOU締結が先行課題、ソウル拠点の設立後に具体化も

Glasswingの参加対象が今後拡大される場合でも、まずMOU締結が前提条件になる可能性がある。Anthropicは現在、米国、英国、日本、豪州などとMOUを締結している。日本のAI安全研究所とは2025年10月、豪州政府とは2026年4月にそれぞれ協約を結んだ。

キム・ミョンジュAI安全研究所長は「日本やカナダなど、AnthropicとMOUを結んだ国でもGlasswingに参加できていない」とした上で、「韓国はまずMOU締結という段階を越えなければならない」と述べた。

韓国科学技術情報通信部は、Mythosを巡る動きとは別に、以前から進めてきたAnthropicとのMOU締結も加速させている。2月にペ副首相がインド・ニューデリーで開かれた「AI影響サミット」で、ダリオ・アモデイAnthropic CEOと面会して以降、締結に向けた協議を進めてきた。当初はAnthropicの韓国法人トップの選任後に協力関係を正式化する計画だったが、年初の開設が予告されていたソウル事務所の設立が遅れ、MOU締結も先送りされている。

同部関係者は「Anthropicの韓国支社は6月中に設立される見通しだ」とした上で、「支社が設立されれば、MOUも具体的に進展するだろう」と話した。

一方、同部はGlasswing参加とは別に、AIを悪用したサイバー脅威への対策も急いでいる。Claude Opus 4.7を使った模擬攻撃で見つかった脆弱性を国内の専門家に共有し、早ければ今月末にも関連対策を取りまとめる計画だ。OpenAIが「GPT-5.4 Cyber」を用いて運営するサイバーセキュリティ協議体「Trusted Access for Cyber(TAC)」には、韓国企業の一部がすでに参加している。

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