テスラの4680電池を巡る実力検証や電動トラック「Semi」の競争力、イーロン・マスク氏が関与する超大型半導体工場「Terafab」計画など、EV・モビリティ業界では足元で複数の動きが浮上している。中国EVメーカーの海外展開が加速する一方、完成車各社では内製化戦略の見直しも広がっている。
まずテスラの電池戦略では、性能向上への取り組みと実用面の課題が同時に表面化している。4680バッテリーを搭載した車両では、想定を下回る航続距離が確認された一方、電池容量を増やさずに効率改善を図る新たな冷却技術の特許も公開された。電池の内製化を進めながら、実走行での性能をどう高めるかが今後の焦点となる。
商用車分野では、テスラの電動トラック「Semi」への注目が続く。ディーゼルトラックと比べた運用コストの優位性が取り沙汰されており、大手物流企業の関心も高い。長距離モデルと標準モデルの電池容量も具体化しており、電動商用車市場での攻勢を強めているとの見方が出ている。
半導体分野では、マスク氏が米テキサス州東部で進める超大型工場「Terafab」の投資規模が最大1190億ドルに達する可能性が浮上した。SpaceXがテキサス州グライムズ郡に提出した公聴会の公告を通じて明らかにしたもので、第1段階では少なくとも550億ドルを投じる計画という。全体計画が完了した場合、投資額はさらに膨らむ見通しだ。
EV市場では、中国メーカーの海外攻勢も勢いを増している。BYDやGeely Automobileなどが代表例で、BYDは英国市場でテスラ、起亜、Volkswagenを抑えて販売首位に立った。カナダでは関税引き下げの動きもあり、中国EVの北米進出期待が高まっている。
一方で、完成車メーカーの内製化戦略には修正の動きが出ている。Porscheは電池、電動自転車、ソフトウェア関連の子会社3社を整理し、EV向け電池の外部調達に軸足を移した。コスト効率の改善と事業構造の再編を急ぐ構えだ。
Hondaも、カナダ・オンタリオ州で計画していた110億ドル規模のEV・電池生産ハブ建設を保留した。北米での電動化戦略を見直す動きとして受け止められている。
モビリティプラットフォーム各社では、生活密着型サービスと社会貢献施策の拡充が進んでいる。Whistleは統営市で駐停車取り締まり通知サービスを開始し、Kakao Mobilityは「道路上のヒーローズ」の表彰対象を一般市民まで広げた。
KakaoはHyundai Motor、海洋水産部と連携し、地図サービス上で国内の「海の森」の位置情報を初めて表示する。あわせて、海洋生態系の保全に向けた寄付キャンペーンも実施する。
日本では、段ボールを主材料に使った低価格ドローン「Air Kamuy 150」が話題を集めている。防水コーティングを施した段ボールを使う軽量の固定翼ドローンで、価格は1機当たり2000〜2500ドル(約30万〜37万5000円)。電動推進で約50マイルを飛行、または約80分滞空できるという。
搭載能力は最大3ポンドで、偵察装備のほか小型弾薬の搭載も可能とされる。低コストかつ使い切りを前提とした運用が可能な点が特徴として注目されている。
電動自転車市場では、次世代電池を巡る競争も本格化してきた。Ride1Upは半固体電池を採用した電動自転車を公開し、商用化競争に参入した。充電速度や安全性、電池寿命の改善が期待されており、半固体電池は電動自転車の新たな技術軸として存在感を高めている。
二輪分野では、Hondaが電動バイク向けのシミュレーションeクラッチシステムを開発している。電動バイクの利便性を維持しながら、内燃機関車に特有の緻密な操作感や強い加速感を再現する狙いで、触覚フィードバックとトルクブースト機能を盛り込む。エンジン車に近い走行体験をどう電動モデルで表現するかが、次の差別化要素になりそうだ。