2026年1〜3月時点の世界の地域別生成AI普及状況。画像=Microsoft

Microsoftのシンクタンク「The AI Economy Institute」は、生成AIの普及動向をまとめたリポートを公表した。2026年1〜3月期の世界の生成AI利用率は17.8%と前期の16.3%から1.5ポイント上昇した。アジアで普及の勢いが目立つ一方、地域間の利用格差は拡大している。

リポート「Global AI Diffusion Q1 2026 Trends and Insights」によると、2026年1〜3月に世界の労働年齢人口に占める生成AI利用者の比率は17.8%だった。

生成AIの利用率が30%を超えた国は、前期の18カ国から26カ国に増えた。国別ではアラブ首長国連邦(UAE)が70.1%で世界で初めて70%台に乗せ、シンガポールが63.4%、ノルウェーが48.6%、アイルランドが48.4%、フランスが47.8%で続いた。米国は28.3%から31.3%に上昇し、順位も24位から21位に上がった。

韓国は前期比6.4ポイント増の37.1%となり、伸び率は世界最大だった。順位も18位から16位に上昇した。

同リポートは、こうした動きがアジアでの普及加速を示していると分析した。利用の伸びが大きかった上位15市場のうち、12市場をアジアが占めたという。

背景としては、デジタルインフラへの長期投資、各国政府のAI戦略、高い消費者受容度に加え、現地言語での主要モデルの性能向上や、新技術を生活や経済活動に素早く取り込む力を挙げた。

一方、地域間の不均衡は一段と広がった。リポートは、先進国中心の「グローバル・ノース」と新興国中心の「グローバル・サウス」の間で、利用格差が継続的に拡大していると指摘した。

2026年1〜3月期の生成AI利用率は、グローバル・ノースが27.5%と2025年下半期比で2.8ポイント上昇したのに対し、グローバル・サウスは15.4%で1.3ポイントの上昇にとどまった。

こうした格差の背景には、グローバル・サウスが抱える構造的な制約があるとした。具体的には、電力供給やインターネット接続、デジタルスキル不足といったインフラ面の差が主因だとしている。

技術面では、現地言語対応の強化とマルチモーダル対応の拡大が普及を後押しした主要因と分析した。特に、14言語で同一の知識課題を評価する多言語ベンチマーク「MMMLU」などで確認された非英語圏での性能向上により、AIツールが多言語タスクをより効果的に処理できるようになったと説明した。

その結果、メッセージング、検索、学習、コンテンツ制作といった日常利用の場面で使いやすさが高まった。こうした変化がスマートフォンの広範な普及や高いデジタル参加率と重なり、アジアの先進国・新興国の双方で普及を押し上げたとしている。

利用者ニーズの拡大と実務導入も進んでいる。McKinseyの調査では、東南アジアのAI活用は世界平均を上回るペースで進み、多くの組織が実証段階を越えて本格展開の段階に入っているという。

また、Stanford HAI Indexでは、タイやトルコなどでAIに対する肯定的な認識が確認されており、継続的な受容と需要の維持につながる可能性があるとした。

ソフトウェア開発分野でのAIの影響拡大も鮮明になっている。AnthropicやOpenAIなどの主要企業が提供するコーディング特化型システムは、複雑なエンジニアリング業務にも対応できる能力を示したという。

ただ、AIコーディングが労働市場全体に与える影響については、現時点で判断するのは早いとした。足元のデータは、生産性向上とソフトウェア開発需要の拡大という方向性と整合しているとしている。

開発者の生産性向上は、ソフトウェア開発コストの低下につながる。企業がソフトウェアを導入する領域を、より幅広い用途へ広げる可能性があると説明した。

今回のリポートは、集計・匿名化したMicrosoftのテレメトリーデータに基づく。OSとデバイスの市場シェア、インターネット普及率、各国の人口規模の違いを反映する形で補正した。

調査では、期間中に生成AI製品を利用した世界の15〜64歳の労働年齢人口比率を測定した。

The AI Economy Instituteは、国ごとの利用実態の違いをより正確に反映するため、世界のAI普及の測定手法を継続的に高度化しているとした。今回のリポートは現時点で利用可能な国際比較指標に基づいており、今後は追加指標の整備やデータ蓄積に応じて補完していく方針だ。

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