韓国政府は、量子技術支援の対象を研究開発中心から産業化や安全保障分野へ広げる制度整備に乗り出した。量子コンピューティングとHPC・AIの融合を新たに法文に盛り込んだほか、サプライチェーン対応、規制見直し、量子セキュリティ、国防分野での活用まで支援対象を拡大する。
科学技術情報通信部は12日、「量子科学技術および量子産業育成に関する法律」改正案が国務会議で議決されたと発表した。改正案は、国会科学技術情報放送通信委員会のチェ・ミニ委員長が代表発議したもので、国会本会議での議決を経て同日の国務会議で議決された。
今回の改正は、量子技術が世界的な技術覇権を巡る競争の中で産業化段階に入りつつある状況を踏まえたものだ。支援範囲をサプライチェーン、セキュリティ、産業・国防分野での適用へと広げ、研究開発から実装までを視野に入れた制度基盤の整備を進める。
改正案では、量子コンピューティングとHPC・AIの融合技術を支援対象として初めて法的に明記した。量子コンピューティングの演算能力とAIの学習・推論能力を組み合わせ、新薬開発や素材設計、最適化問題の解決などへの活用を後押しする。
量子AIに関しては、研究開発、実証、人材育成を支援できるようにした。国家量子総合計画には、AI活用の促進策に加え、安全性と信頼性の確保策も盛り込むことを定めた。
産業化支援も強化する。量子技術や関連製品の研究開発・商用化の過程で規制上の支障が生じた場合、企業や研究機関が政府に規制見直しを申請できるようにする。政府は関連法令の整備や規制特例の付与などで対応する。
量子分野の主要な素材・部品・装置については、サプライチェーンの脆弱性を診断し、対応体制を構築するための根拠規定を新設した。量子クラスターの指定では、交通網やインフラ、連携性などの立地基準も明確化する。量子技術の商用化や規制見直しの過程で生じた軽微な過失については、積極行政を促すため、公務員の責任を軽減する特例も設ける。
量子セキュリティ分野では、Mythosに代表されるAIベースのハッキング脅威への対応に加え、将来的な量子コンピューティングの発展を見据えた体制整備を義務付けた。政府、地方自治体、公共機関は、耐量子計算機暗号(PQC)や量子鍵配送(QKD)などの量子セキュリティ技術について、確保と適用に向けた計画を策定し、推進しなければならない。
国防分野での量子技術活用の法的根拠も整えた。科学技術情報通信部は国防部など関係機関と連携し、量子レーダー、量子航法、軍通信・暗号体系などで量子技術の開発と実証を進める方針だ。あわせて、宇宙、国防、通信、エネルギー、金融、交通など、国家安全保障や国民生活に影響する分野で量子技術を活用する事業には、事前の影響評価を義務付ける。
科学技術情報通信部は今後、施行令と施行規則の制定を通じて、影響評価の対象と手続き、量子セキュリティ体制の詳細基準、量子AIやサプライチェーンの専任機関の指定要件などを具体化する方針だ。
ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は「量子は、AIの高い電力消費や演算速度の限界を克服し、AI革新を前進させる中核的な戦略技術だ」と述べたうえで、「韓国がポストAI時代を主導できるよう、全段階で政策支援を強化していく」と強調した。