「金持ち父さん 貧乏父さん」の著者として知られるロバート・キヨサキ氏が、2026年に世界経済が大きく悪化する可能性があるとして警戒感を示し、有望な投資先の一つに銀を挙げた。法定通貨に依存しない実物資産が、次の相場下落局面への備えになるという考えだ。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが11日(現地時間)に伝えたところによると、キヨサキ氏はここ数カ月、X(旧Twitter)を通じて同様の警告を繰り返している。2002年の著書で触れた「あらゆるバブル」が、いま本格的に崩れ始めているとの認識を示してきた。
背景として同氏が挙げるのは、約39兆ドルに膨らんだ米国の債務と、1974年以降続くドル安による構造的な脆弱性だ。ベビーブーマー世代の退職口座資産が揺らぐ可能性も、リスク要因として指摘した。
キヨサキ氏は「2026年の世界経済は崩壊の直前にある」と述べたうえで、「未来を見通せる人には良いニュースであり、見通せない人には悪いニュースだ」と語った。
また、1987年、2000年、2008年、2022年の市場急落時には実物資産を保有していたことで、かえって資産を増やせたと説明。2026年も同じ戦略を取る考えを示した。
もっとも、主要機関の見方はこれとは異なる。多くの機関は、2026年の世界経済が大恐慌級の打撃を受けるとの見方には同調していない。国家債務や地政学リスクは下振れ要因とみる一方、全体としては緩やかな成長見通しを維持しているという。
キヨサキ氏が特に強調したのが銀だ。同氏は、18歳だった1965年から銀を買い続けてきたとし、現在も通貨価値下落へのヘッジであると同時に、主要な産業用金属だと位置付けている。
その根拠として、太陽光パネルや電気自動車、バッテリー、AIインフラなどで銀の需要が広がっている点を挙げた。銀の現物価格は過去1年で大きく上昇し、足元では1オンス当たり85ドル前後(約1万2750円)で取引されている。
同氏はこれに先立ち、2026年に銀価格が1オンス当たり200ドルに達する可能性があるとの見方も示していた。現物の銀は新規投資家にとっても手が届きやすい投資対象だとし、「偽のドル」への警戒感も改めて示した。
需給面でも、銀を支える材料がある。銀市場は6年連続で構造的な供給不足にあり、産業需要が全体消費の約半分を占めるという。
こうした見方を背景に、市場参加者の間でも銀に対する強気の見方が出ている。ベテラントレーダーのヴィジェイ氏は、銀価格が75〜80ドル(約1万1250〜1万2000円)近辺でもなお割安だと指摘し、今後6カ月で上振れ方向に市場を驚かせる可能性が大きいと述べた。
さらに、シカゴ商品取引所(CME)の在庫が2025年1月以降で最低水準にあることにも触れ、銀は希少な原材料であり、市場で最も見過ごされてきた資産クラスの一つだと評価した。
調査会社World of Finance and Associatesは、マクロ要因のショックが限定的な場合の銀価格の上値として、88〜92ドル(約1万3200〜1万3800円)を提示した。一部の貴金属アナリストは、銀鉱山株をレバレッジの効いた投資先としてみている。
一方で、長期投資の観点からは、金と銀の双方になお少なくとも50%の調整が必要だとする慎重な見方もある。
キヨサキ氏が挙げる「2026年の生存資産」には、銀のほか、金、原油、食料生産、ビットコイン、イーサリアムが含まれる。
銀は、景気ショックへの防御手段であると同時に、産業需要の拡大という追い風も見込める資産として言及されている。ただ、2026年に同氏が警告するようなショック相場が実際に到来するか、またその時点までに銀価格が同氏の想定に近づくかは、市場の変動性やマクロ環境に左右されそうだ。
キヨサキ氏はXへの投稿で、「最良の投資家は未来を見ている。例えば1965年、18歳だった私は、銀が小銭のような価格だった時から買い始めた。2026年のいま、銀は私にとって最良の投資先の一つだ。あなたは未来に何が起きると見ているのか。何に投資できるのか」と述べた。