量産を視野に開発が進むKiaのEVスポーツコンセプト「Vision Meta Tourismo」 画像=Kia

KiaのEVスポーツコンセプト「Vision Meta Tourismo(ビジョン・メタ・トゥリスモ)」が、量産を視野に入れる段階まで開発が進んでいる。量産準備はすでに9割に達している一方、実際の市場投入には採算性の確保が最大の条件となる。市場では、スポーツセダン「Kia Stinger」の実質的な後継EVになる可能性にも関心が集まっている。

EV専門メディアのElectrekが11日付で報じたところによると、Kiaのグローバルデザイン統括を務めるカリム・ハビブ氏は、Vision Meta Tourismoのファストバック仕様について「量産準備が90%まで進んだモデルを製作した」と明らかにした。

Vision Meta Tourismoは、Kiaが昨年韓国で初公開した電動スポーツカーのコンセプトモデル。先月のミラノ・デザインウィークでも披露され、グローバル市場で注目を集めた。

低くワイドなプロポーションと空力性能を意識した造形が特徴で、EV専用プラットフォームを前提とした次世代スポーツセダンとして位置付けられている。市場では、StingerをEVとして再解釈した後継モデルとの見方も出ている。

もっとも、量産時期は決まっていない。ハビブ氏は「合理的なコストで生産できる段階になれば量産に移る」と述べ、高性能EVの製造コストの高さが最大の制約になっていると説明した。

同氏は、純電動スポーツカーは依然として原価負担が大きく、現時点では価格競争力をどう確保するかが重要課題だとの認識も示した。

Vision Meta Tourismoについては、単なるショーカーではなく、Kiaの次世代デザイン戦略を象徴するモデルとの評価もある。ハビブ氏は、同社のデザイン哲学「Opposites United」が向かう将来像を示す中核的なマイルストーンだと位置付けた。

Kiaによると、同車は「パフォーマンス重視の走行体験」「没入型デジタルインターフェース」「ラウンジのような室内空間と快適性」の3つを設計の中核に据えた。

インテリアも従来のスポーツセダンとの差別化を意識した。ジョイスティック型の操作系、バーチャルギアシフター、ボタン式のローンチコントロール、バーチャルエンジンサウンドなどを採用している。

インターフェースにはゲーム機やアーケードゲームの感覚を取り入れ、ゲーマー世代を意識した設計とした。新形状のステアリングホイールについても、次世代の直感的なドライバーインターフェースを提示するものだとしている。

走行モードは「スピードスター」「ドリーマー」「ゲーマー」の3種類を用意した。スピードスターモードでは、広視野角の拡張現実ヘッドアップディスプレイに加え、照明とサウンド演出を組み合わせ、没入感のあるドライビング体験を提供するという。

ドリーマーモードは都市環境での利用を想定し、ARグラスと連動するインターフェースを重視した。ゲーマーモードは停車中に仮想レーシング体験を楽しめる設計としている。

KiaはSUVを軸とする販売構成を維持する一方、スポーツセダンの可能性を完全には手放していない。ハビブ氏は「KiaにはStingerのようなクルマを作ってきた歴史がある」とした上で、「Meta Tourismoはゲーマー世代に向けた新しいスポーツセダンのアイデアだ」と語った。

業界では今後のEVラインアップ戦略の中で、同車のコンセプトがKia EV7やEV8などに反映される可能性も取り沙汰されている。ただ、Kiaは現時点で具体的な車名を公式には示していない。

Kiaは一方で、2027年までに小型EV「EV1」の投入も進めている。市場では、Vision Meta TourismoがSUV中心のポートフォリオを超え、Kiaが電動スポーツセダン市場への再参入を探る象徴的なモデルになるとの見方が広がっている。

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