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AI需要の拡大を背景に半導体供給がサーバ向けへ傾斜し、PC向け部品市場にしわ寄せが広がっている。メモリやCPU、ストレージの価格上昇を受けて個人向けPCの買い替えやアップグレード需要が鈍化しており、2026年のマザーボード市場は大幅な縮小局面に入るとの見方が強まっている。

台湾メディアのDigiTimesが報じ、GIGAZINEが11日に伝えたところによると、主要マザーボードメーカーは2026年の販売目標を相次いで引き下げた。業界では、上位4社の2026年の出荷枚数が前年比で約28%減少すると予測している。

背景にあるのは、AIサーバー向け半導体需要の急増だ。AIデータセンターやサーバー向けに供給が振り向けられたことで、PC向け部材の需給は逼迫。これがメモリ、ストレージ、CPUの価格上昇につながったとみられている。

部品価格の上昇を受け、消費者の間では新規購入やアップグレードを先送りし、既存PCの使用期間を延ばす動きが強まっている。

メーカー別にみても見通しは厳しい。ASUSは2025年に約1500万枚を販売したが、2026年上期の出荷は約500万枚にとどまったという。業界では通年で1000万枚の達成も容易ではないとみており、この場合は前年比で約33%減となる。

GigabyteとMSIも、2025年の販売実績がそれぞれ1150万枚、1100万枚だった一方で、2026年の社内目標は900万枚、840万枚へ引き下げたとされる。減少率はそれぞれ約22%、約24%となる見込みだ。

ASRockの落ち込みはさらに大きい。出荷は2025年の430万枚から、2026年には270万枚程度まで縮小し、約37%減になると見込まれている。

業界では今回の失速について、単なる季節要因による調整ではなく、需要構造そのものの変化に近いと受け止めている。DigiTimesは、現状が世界金融危機や新型コロナウイルス流行初期を上回る厳しさだと評価した。

PCのアップグレード需要が鈍っている背景には、部品価格の上昇に加え、買い替えサイクルの長期化もある。メモリやCPUの供給不足に伴う値上がりが続くなか、NVIDIA製GPUの更新サイクルの鈍化も買い替え意欲を弱めたという。

さらに世界的なインフレも重なり、消費者は高額な新規の自作PCを組むより、手元の機器を長く使う選択に傾いているとの分析だ。

もっとも、個人向け部品市場の低迷が、各社の業績悪化にそのまま直結するわけではないとの見方もある。主要メーカーがAIサーバー向け製品の生産比率を高めているためだ。

実際、ASUSのサーバー事業売上高は2025年に前年比100%超の成長を記録したとされる。2026年1〜3月期も、サーバー部門の売上高は前四半期比でほぼ2倍に拡大するとの予測が示された。個人向けPC部品市場の減速を、AIインフラ需要が一部補う構図が鮮明になりつつある。

業界では、この影響がPC市場にとどまらない可能性にも注目が集まっている。メモリや高性能半導体の供給制約が長引けば、スマートフォンやその他の電子機器の価格、出荷にも波及する可能性があるためだ。

2026年のPC部品市場は、AIサーバー中心に再編される半導体供給構造、上昇した部品価格、長期化する買い替えサイクルが重なり、縮小基調が続く公算が大きい。

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