ビットコインは週末にかけて大きく振れたものの、8万ドルの節目は維持した。市場では今週、8万5000ドル台を再び試せるかが焦点となっている。CMEギャップのほか、米国の物価指標、中東情勢、原油相場、オンチェーン指標が相場を左右する主要材料として意識されている。
11日付のCointelegraphによると、ビットコインは一時8万2000ドルを上回ったが、その後は上昇分を失った。この過程ではロング、ショートの双方でポジション清算が膨らんだ。
CoinGlassの集計では、直近24時間の暗号資産市場における清算額は4億ドル(約600億円)を超えた。取引所の板では流動性が吸収される動きが続いた。
市場アナリストのCryptic Tradesは、変動率が高まる直前、ビットコインの清算ヒートマップ上で厚い流動性が確認されていたと指摘した。実際、相場は急騰と急落を経た後、再び8万ドル近辺へ戻した。
短期的な高値更新を見込む声もある。アナリストのKripNuevoは、8万ドルを下値支持として維持した点を追加上昇に向けた前向きな材料と評価した。
同氏は、ビットコインが8万1000ドルを上回る水準に定着し、日足の移動平均線も追随していると分析した。Michaël van de Poppeも、21日移動平均線が現在値の下に位置し、高値・安値ともに切り上がる構図も維持されているとして、上昇トレンドが続いているとの見方を示した。
一方、短期的な上放れにはなお慎重な見方もある。Rekt Capitalは、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン先物チャートに残るギャップを主要な変数として挙げた。
同氏によると、ビットコインはCMEギャップの下限では下支えされる一方、上限では上値を抑えられている。短期的には7万8000ドル、8万300ドル(8万0300ドル)、8万4000ドル近辺にギャップが残っており、直近の局地的な高値形成の重荷になっているという。
こうした点を踏まえ、市場では当面レンジ推移を見込む見方が強い。Cryptic Tradesは、未決済建玉が減少する一方で価格が上昇する局面が続いているとし、市場がより大きな方向感を定めるまでは、ロングとショートの双方を振り落とすような調整と横ばい推移が続く可能性が高いとみている。
今週のマクロ材料としては、米国とイランを巡る地政学リスクと、米国の物価指標が注目される。市場は和平協議を巡る発言に敏感に反応しており、ドナルド・トランプ米大統領はイランの最近の提案を受け入れられないとの考えを示した。
その後、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は1バレル=100ドルを再び上回り、ビットコインも8万2500ドル近辺まで急伸したが、上昇分をすべて打ち消した。
米国の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)の発表も重要なイベントとなる。運用会社関係者のPeter Tarrは、原油高の影響が物価指標に反映される可能性があるとし、今回の発表は市場にとって重要な判断材料になると述べた。
一方、CME FedWatchによると、市場は6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率を4.2%織り込んでいる。
オンチェーン指標にも反発期待を支える兆しが出ている。CryptoQuantのアナリストRayは、ビットコイン現物買い手のCVD(累積出来高差)90日チャートについて、資金フローの構造に明確な変化がみられると評価した。
同氏は、買い手がより低い価格での押し目を待つのではなく、成行で注文板を直接取りにいく動きが出始めたと説明した。CryptoQuantはこれを、実需が優勢な状態と解釈している。
ビットコインのMVRV(時価総額に対する実現時価総額の比率)も注目材料だ。同指標は2026年に入って高水準まで持ち直しており、200日指数移動平均線とのゴールデンクロスが意識されている。
CryptoQuantへの寄稿者CW8900は、このシグナルを代表的なトレンド転換の強気サインだと指摘した。過去にも、こうしたクロスがビットコイン価格の急上昇に先行して現れた例があるという。
結局のところ、今週のビットコイン相場は、8万ドルの下値支持を維持できるか、そして8万4000ドル前後の上値抵抗を突破できるかが焦点となる。地政学リスクと米物価指標が短期的な変動率を高める可能性がある一方、オンチェーン指標やトレンド系指標では反発を試す動きも確認されている。