Circleは11日、AIエージェントが専用ウォレットを通じてUSDCを保有・送金し、自律的に決済を実行できる開発者向けプラットフォーム「Agent Stack」を発表した。エージェント専用ウォレットやCLI、少額決済機能を提供し、自律ソフトウェア向けの決済インフラ拡充を狙う。
Cointelegraphによると、Agent Stackはエージェント専用ウォレット「Agent Wallets」、コマンドラインの開発者向けインターフェース「Circle CLI」、エージェント向けサービスのマーケットプレイス、機械間マイクロペイメントのプロトコルで構成される。
対応するブロックチェーンと決済ネットワーク上では、権限や支出上限、各種ポリシーをあらかじめ設定したうえで、AIエージェントが自律的に取引できるよう設計した。
Circleは、少額決済基盤について、ガス代不要でUSDCを送金でき、最小0.000001ドル単位の支払いに対応すると説明している。ソフトウェア同士が高頻度で自動決済する用途を想定する。
また、AIエージェントが自律的に資金を保有・送金・管理できるよう、Agent Walletsを設計した。あわせて、開発者やAIエージェントがCircleのプラットフォーム上でアプリケーションを構築できるCircle CLIも公開した。
ステーブルコインをAIエージェントの金融インフラに組み込もうとする動きは、業界全体で広がっている。3月にはMoonPayが、ポリシー制御と暗号鍵保管機能を備えたオープンソースのウォレット標準を公開した。BitGoも同月、自然言語プロンプトでウォレットツールやAPIドキュメントにアクセスできるAI開発者向けツールを発表している。
決済・ネットワーク事業者の参入も進む。Visaは、APIキーを外部に露出させないAI決済向けのコマンドラインツールを公開した。
Stripeが支援するTempoは、自律ソフトウェア同士のステーブルコイン取引を対象とするブロックチェーン決済プロトコルを投入した。Coinbaseは、イーサリアムのレイヤー2ネットワーク「Base」のインフラを「AIエージェント経済」に対応する形で強化する方針を示し、重点分野としてステーブルコイン決済、トークン化資産、開発者ツールを挙げた。
先週にはExodusが、Solanaベースのステーブルコインと開発者ツール群「XO Cash」を公開した。エージェント連携ウォレット、調整可能な支出制御、Visa決済網へのアクセス機能を基盤に、AIエージェント決済を支援する設計だとしている。
市場も反応した。DefiLlamaによると、USDCの流通量は約780億ドル(約1兆1700億円)で、時価総額ベースで2番目に大きいステーブルコインとなっている。
Yahoo Financeによれば、Circleの株価は取引時間中に約18%上昇し、直近1カ月では上昇率が51%を超えた。
AIによる自動化の拡大は、企業運営にも影響を及ぼしている。Coinbaseは今月初め、全従業員の約14%を削減すると発表した。ブライアン・アームストロングCEOは、AIの進展がチーム運営の変化要因の一つだと述べている。
今回のCircleの取り組みは、AIエージェントを単なる補助ツールにとどめず、ウォレットの保有から決済実行まで担う主体として位置付ける試みといえそうだ。CircleはXへの投稿でも、Agent WalletsによるUSDCの保有・送金、Agent Marketplaceでのサービス探索、Circle CLIによる反復的な金融処理の実行といった機能を紹介している。