Strategyが、優先株の配当原資を確保する手段としてビットコイン(BTC)の一部を売却する可能性に言及した。一方で、保有量全体は引き続き積み増す方針も改めて打ち出した。
米ブロックチェーンメディアのThe Block Cryptoによると、マイケル・セイラー会長は11日(現地時間)、週末に公開された複数のインタビューで、BTCの一部を売却する可能性はあるとしながらも、新規購入が売却分を大きく上回るとの考えを示した。
セイラー氏はポッドキャストで、「BTCを1枚売ったとしても、10〜20枚を追加で買う」と発言。StrategyはBTCの純買い手であるべきだと強調し、「BTCは資本であり、純売り手になってはいけない」と述べた。年末時点の保有量は年初を上回るべきだとの認識も示している。
こうした発言は、先週の決算発表後に示された説明を補足するものだ。当時、同社は普通株MSTRの売却による資金調達が止まった場合でも、STRCの永久優先株プログラムの配当を賄う柔軟性があるとしていた。その中で、保有BTCの一部を資金捻出に活用する可能性もにじませていた。
売却判断の基準についても言及があった。ポン・レ最高経営責任者(CEO)はCNBCのインタビューで、BTCを売却して配当を支払う方が株主価値に資するなら検討すると説明した。指標として1株当たりBTCを挙げ、「理念より数学を信じる」とも語った。配当原資の確保に当たり、株式発行よりBTC売却の方が1株当たりBTCと普通株株主にとって有利であれば、その手段を選ぶ考えを示した。
市場では、StrategyがBTCを無条件に抱え続ける従来の姿勢一辺倒ではなく、資本構成全体を踏まえた運用に戦略の幅を広げつつあるとの見方が出ている。ただ、同社は純買い基調そのものは変えていないと繰り返し強調している。
セイラー氏はX(旧Twitter)に「また仕事に戻る。BTC」と投稿した。過去にも追加購入の発表前に同様の投稿をしていたという。
StrategyのBTC保有量は81万8334BTC。評価額は約662億ドル(約9930億円)に上る。JPモルガンは先週、現在の購入ペースが続けば、同社の2026年のBTC購入額は約300億ドル(約4500億円)に達する可能性があるとの見方を示した。
同社はあわせて、BTC以外の既存事業の成長も訴えている。ポン・レCEOは、同社の成果は貸借対照表上のBTC保有量だけでは測れないとしたうえで、ソフトウェア事業とAI事業の成長を挙げた。ソフトウェア事業とBTCを軸とする財務戦略が、強力で独自のシナジーを生み出しているとも述べた。
同社によると、2026年1〜3月期のソフトウェア事業売上高は前年同期比12%増となり、直近10年で最も力強い四半期だった。企業データ向けには、AIベースの意味階層「Mosaic」を構築。複数のAIモデルを活用し、社内プロセスとシステムの全面的な再構築も進めているという。
ポン・レCEOは、今後1年で主要業務フローの相当部分を自動化し、社内のエンタープライズソフトウェアの多くを置き換える見通しも示した。
市場の関心は、Strategyが実際にBTCの一部売却に踏み切るのか、またその過程でも1株当たりBTCの維持・向上と総保有量の拡大という2つの目標を両立できるかに集まっている。