KT光化門Westビル(写真=KT)

AIスタートアップのUpstageが、1兆ウォンを超える企業価値で評価されている。2023年に同社へ100億ウォンを出資したKTでは、事業協業に加えて保有株式の価値上昇も見込めるとして、先行投資の意義が改めて注目されている。

業界によると、KTは2023年10月にUpstageへ100億ウォンを投資し、2.84%の持ち分を取得した。当時のUpstageは、韓国の生成AI分野で技術力に定評のある有望企業だったが、IT業界以外での知名度はなお限定的だった。

その後、Upstageは独自の大規模言語モデル(LLM)「Solar」と文書AIソリューションを軸に存在感を高めてきた。昨年は、政府主導の「独自AIファウンデーションモデル」プロジェクトに参加し、2次評価にも進んだ。

足元では、国民成長ファンドがUpstageに対し、先端戦略産業基金から1000億ウォン、産業銀行から300億ウォン、民間投資家から4300億ウォンの計5600億ウォンを投資した。こうした資金流入を通じて、同社の成長性への評価は一段と高まっている。さらに、ポータル「Daum」の運営会社AXZを買収し、AI業界での存在感を一段と強めた。

投資業界では、Upstageの企業価値を約1兆6000億ウォンとみる向きが多い。単純計算では、KTが保有する2.84%の持ち分価値は約450億ウォンとなる。投資元本の100億ウォンに対し、約4.5倍に相当する水準だ。

KTは現時点で持ち分売却の計画を明らかにしていない。ただ、今後Upstageが新規株式公開(IPO)を本格化させるなかで企業価値がさらに切り上がれば、KTの投資収益も拡大する可能性がある。

もっとも、KTにとっての意義は財務面にとどまらない。両社は技術面でも連携を進めており、KTは有望なAIスタートアップへの出資だけでなく、海外AIプロジェクトでもUpstageとの協業を深めている。

代表例が、タイでのLLM構築事業だ。KTは昨年4月、タイのジャスミングループ傘下のIT企業JTSとともに、タイ語ベースのLLM構築プロジェクトを推進した。韓国企業によるLLMプラットフォーム輸出の初事例とされる。

このプロジェクトでは、UpstageがLLMの共同開発を担った。KTにとっては、Upstageとの協業を通じてAI事業の遂行力を高めると同時に、海外案件の実績を積んだ点に意味があった。

市場では、UpstageがIPOを本格的に進めれば、KTにとっても株価面で追い風になり得るとの見方が出ている。SKテレコムによるAnthropic投資と重ねて見る向きもある。

SKテレコムは、米AI企業Anthropicへの出資持ち分の価値上昇が注目され、株価の支援材料となった。KTについても、Upstageへの投資を通じてAI事業への目利き力と投資判断の両方を示せるとの受け止めがある。

一方で、Upstageがなお本格的な収益化の段階に入っていない点は不確定要素だ。生成AI企業は、インフラ投資や研究開発(R&D)、人材確保に継続的な費用を要するためだ。

今後は売上高の拡大に加え、収益性をどこまで改善できるかが企業価値評価の重要な判断材料となる。ただ、市場では依然としてUpstageの中長期的な成長期待が根強い。

政府の独自ファウンデーションモデル事業への参加に加え、国民成長ファンドからの資金流入や大手ポータル運営会社の買収など、事業面での実績を積み上げてきたことが背景にある。独自ファウンデーションモデルの最終選定に入れば、企業価値が数兆ウォン規模に高まるとの見方も出ている。

業界関係者は「通信会社によるAIスタートアップ投資は、単なる持ち分収益ではなく、将来の事業協業の可能性まで含めて評価すべきだ」としたうえで、「KTとUpstageの事例は、投資成果とAI技術協力が同時にかみ合っている点で意義が大きい」と話した。

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