OpenAIのSam Altman最高経営責任者(CEO)は、Z世代や大学生の間で、ChatGPTが単なる検索ツールではなく「個人OS」のような存在として使われているとの見方を示した。講義ノートやPDF、クラウドストレージ、予定管理、開発ツールなどをChatGPTにつなぎ、日常の作業環境の中核として活用しているという。
メディアのCryptopolitanによると、Altman氏は5月10日(現地時間)、Sequoia Capital主催のAIイベントで、世代ごとにChatGPTの使い方に明確な違いが出ていると語った。
比較的高年齢の利用者はChatGPTを「より賢い検索エンジン」として使う傾向が強い一方、20〜30代ではパーソナルアシスタントに近い使い方が広がっているという。なかでも大学生は、ChatGPTを日々のワークフローに深く組み込み、複数の資料やツールをまたいで使っていると説明した。
Altman氏によれば、大学生は講義ノートやPDF、クラウドストレージ、予定管理、コーディングツールなどをChatGPT経由で扱い、1つの作業環境としてまとめている。課題の補助にとどまらず、文章作成や学習、調査内容の要約、スケジュール管理、ソフトウェア開発まで、幅広い用途で再利用可能なプロンプトを使い回しているという。
こうした傾向は、OpenAIの社内指標や外部調査でも裏付けられている。OpenAIが2025年2月に公表した資料では、米国の18〜24歳は他の年齢層に比べ、ChatGPTの普及ペースが最も速かった。Business Insiderが確認したデータでも、この年齢層では3割超がすでにChatGPTを利用していた。
Pew Research Centerの調査では、2024年に米国の13〜17歳の26%が学校の課題にChatGPTを使っていた。若年層での活用は、学習支援の域を超え、日常の情報整理や判断支援へと広がりつつある。
Altman氏は、一部の若い利用者について、個人的な意思決定でもまずChatGPTに相談するケースがあると言及した。「人生の重要な判断をChatGPTに委ねることさえある」としたうえで、ChatGPTが過去のやり取りや周囲との会話も含めた文脈を踏まえて応答できる点を理由に挙げた。
教育現場では、こうした変化への対応が分かれている。生成AIを使ったブレインストーミングや文章の推敲を限定的に認める一方、課題にAIを使った場合は申告を求める大学もある。逆に、盗用や過度な依存を懸念し、規制を強めた学校もある。
市場や学界では、AIが生産性向上ツールにとどまらず、日常的な意思決定を支える存在へと変わりつつある点に注目が集まっている。ただ、その評価は一様ではない。
Fortuneが2023年11月に引用した研究は、ChatGPTが生成した安全関連の助言について、なお専門家による検証が必要だと警告した。別の研究でも、大規模言語モデル(LLM)は実際の共感や判断、道徳的推論を伴わなくても説得力のある回答を生成できるため、誤った助言が問題を招く恐れがあると指摘している。
その一方で、日常の整理やアイデア出し、負担の軽い意思決定といった領域では、AI活用が十分に実用段階に入っているとの見方もある。
Altman氏はこうした現状を、スマートフォン普及初期になぞらえた。「スマートフォンが初めて登場したとき、子どもたちはすぐに使いこなしていた」と振り返り、高年齢層は基本機能を覚えるだけでも時間がかかったと語った。今回のAI転換期でも、世代間の適応速度の差が改めて表れているとの認識を示した形だ。
OpenAI社内でも、ChatGPTの役割は広がっている。Altman氏は「現在、OpenAI内部の多くのコードをChatGPTが書いている」と明らかにした。具体的な比率には触れなかったが、AIが個人向けツールにとどまらず、企業の開発プロセスにも深く入り込んでいる実態を示した。
ChatGPTを巡る競争も、単なるチャットボット性能競争から、ユーザーのワークフローや意思決定全体にどこまで自然に組み込めるかを争う局面へ移りつつある。