NVIDIAのジェンスン・フアンCEO。写真=Shutterstock

NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、人工知能(AI)の普及で雇用不安が広がるなか、「今はキャリアを築くには絶好の時期だ」との見方を示した。カーネギーメロン大学の2026年卒業式で、AIは技術格差を縮め、若い世代に新たな機会をもたらすと語った。米Business Insiderが10日(現地時間)、報じている。

フアン氏は卒業生に対し、「いまこそ夢を実現するときで、これ以上の好機はない」と述べた。AIによって「技術格差」が縮小し、誰もが価値あるものを生み出せる環境が広がっていると説明。今後数年で、若い人材に多くの新しい機会が生まれるとの認識を示した。

こうした発言は、AIが雇用を奪うのではないかとの懸念が米国で強まるなかで出たものだ。CloudflareやSnapを含む少なくとも12社の大手企業は今年、AIによる効率化を人員削減の背景の一つとして挙げている。AIは採用プロセスの長期化や、新卒採用のハードル上昇につながっているとの指摘もある。2026年初めには、新卒の失業率が4年ぶりの高水準に達した。

米国ではAIへの警戒感も根強い。Pew Research Centerの調査によると、米国人の約半数が、日常生活におけるAIの拡大について、期待よりも不安のほうが大きいと答えた。チャットボットなどのAIサービスを支えるデータセンターの建設をめぐっては、地域社会で反対の動きも続いている。

AI業界内からも懸念の声は出ている。ダリオ・アモデイ氏は昨年、AIが初級の事務職の50%を失わせる可能性があると警告した。イーロン・マスク氏も2月、ジョー・ローガン氏との対談で、人類は20%の確率で破滅に直面する可能性があると発言した。一方、フアン氏は、こうした発言がAIを巡る不安をいたずらに増幅させているとの認識を示した。

フアン氏は今月初め、ポッドキャストでも、AI業界のリーダーは技術を語る際により慎重であるべきだと述べていた。「こうした発言は役に立たない」としたうえで、CEOだからといって何もかも分かっているかのように振る舞うべきではないと指摘した。

卒業生へのメッセージも明快だった。フアン氏は「AIが皆さんを置き換える可能性は高くない」としつつ、労働市場への不安そのものは認めた。そのうえで、より重要なのはAIそのものではなく、AIを活用する能力だと強調した。さらに「皆さんよりAIをうまく使う誰かが、皆さんに取って代わることはあり得る」と語った。

今回の発言は、AIを巡る期待と雇用不安が交錯するなかで飛び出したものとして注目される。米政界では中間選挙を前にAI規制が争点として浮上する可能性も指摘されており、ビッグテック首脳の発言が労働市場や社会に与える影響にも関心が集まりそうだ。

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