グローバル言語学習プラットフォームのDuolingoが、過去の幹部採用で、空港送迎を担当したタクシー運転手への接し方を採用判断に組み込んでいたことが明らかになった。履歴書や面接だけでは見えにくい人物面を見極める狙いがあったという。
GigazineがThe Conversationの記事を引用して5月10日付で報じたところによると、DuolingoのCEO、ルイス・フォン・アン氏はポッドキャストで、CFO候補の選考時にこの方法を用いた経験を明かした。
当時の候補者の1人は、経歴も申し分なく、面接での印象も良かったという。だが、Duolingoが空港からオフィスまでの移動用に手配したタクシーの車内で、運転手に対して非常に無礼な態度を取ったとされる。
同社は候補者の評価に協力した運転手に別途報酬を支払い、その内容を面接に関わった経営陣に共有していた。
フォン・アン氏は、「運転手にひどい態度を取る人は、他人、特に自分の部下にも同じように接する可能性が高い」と説明した。受け答えの巧みさよりも、日常の場面でにじむ態度の方が、組織への適合性をよく示すという考えだ。
こうした見方はDuolingoに限らない。会計ソフト企業XeroのCGO、トレント・イネス氏は、いわゆる「コーヒーカップテスト」を採用時の判断材料にしていると紹介された。
この手法では、面接前に候補者をキッチンに案内して飲み物を渡し、空になったカップを自らキッチンへ戻すかどうかを見るという。
イネス氏は、使い終えたカップをそのまま残して立ち去る候補者は採用しないと説明した。「スキルは伸ばせるし、知識や経験も積み上げられる。だが、最後に重要になるのは態度だ。自分のコーヒーカップを自分で片付けるかどうかに、それが表れる」と語った。
一方で、面接で好印象を演出しようとする振る舞いが、必ずしも有効とは限らないとの指摘もある。ロンドン大学のマーケティング学教授、ヤニナ・シュタインメツ氏は、お世辞や控えめな自己アピールが常に評価につながるわけではないと述べた。
自己PRに偏り、一方的に話し続ける候補者であれば、こうしたテストがなくても不採用になる可能性は高いという。
その上で同氏は、面接では成功そのものを強調するより、そこに至るまでの努力を語る方が、親近感や真実味を与えやすいとの見方も示した。
今回の事例は、採用評価が面接室の中だけで完結するものではないことを改めて示した。とりわけ役員級の採用では、組織文化との相性やリーダーシップが重視されるため、社外の相手への接し方や日常的な行動習慣、会話の進め方までが選考に影響し得ることが浮き彫りになった。