暗号資産取引所のBitgetは、ステーブルコインUSDTを使ったQR決済機能「Scan to Pay」の提供を開始した。東南アジアと中南米の一部市場で先行展開し、既存の地域決済ネットワークと連携することで、加盟店はシステムを改修せずに即時決済へ対応できるという。
フィンテックメディアのFinextraが8日(現地時間)付で報じた。
同サービスは、QR決済が広く普及する一方、従来の金融インフラへのアクセスにばらつきがある地域を主な対象とする。利用者は決済用パスワードを設定したうえで加盟店のQRコードを読み取り、支払いを完了できる。
決済時には、バックエンドでUSDTを換算・精算する仕組みを採用した。手動での出金や銀行送金、両替手続きを経ることなく、現地の既存決済フローに近い形で利用できるとしている。
Bitgetは、暗号資産の活用領域が売買中心から実際の決済利用へ広がる流れに合致するとみている。東南アジアや中南米などの新興市場では、この1年でデジタル資産の利用が急拡大しており、安定性が高く利用しやすい金融手段への需要がその背景にあると説明した。
世界ではモバイル決済の普及が進む一方、十分な銀行サービスを利用できない成人もなお多い。Bitgetは、こうした金融アクセスの空白を埋める手段として、新たな暗号資産決済モデルが立ち上がりつつあると位置付けている。
Bitgetの最高経営責任者(CEO)、グレイシー・チェン氏は「世界では22億人超がQRコード決済を利用している。そこに暗号資産が入らない理由はない」とコメントした。さらに「暗号資産は、人々の暮らしや消費行動に自然に溶け込める」と述べた。
同社は、対象市場の利用者にとって、ステーブルコインは単なる保有資産にとどまらず、実際の支出手段にもなり得ると強調した。旅行者や越境利用者に対しても、現地の銀行システムに依存せず、地域をまたいでも近い決済体験を提供できる点を訴求する。
加盟店側は追加のインフラ変更なしに導入でき、取引の精算過程で暗号資産の価格変動リスクを負わない仕組みだとしている。
今回の提供開始は、ステーブルコインの役割が取引ペアにとどまらず、決済インフラへ広がりつつある流れを示すものでもある。Bitgetは、自社のユニバーサル取引所(UEX)モデルのもとで、取引、資産、金融サービスを単一の環境に統合しており、「Scan to Pay」を、暗号資産の活用範囲をポートフォリオ管理から日常決済へ広げる機能と位置付けた。
Bitgetは、デジタル資産を保有することと実際に使うことの境界が一段と薄れつつあるとみている。ステーブルコインを既存の決済網上で機能する支払い手段として定着させられるかが、今後の焦点となりそうだ。