成人を同乗させられる電動自転車の需要が広がるなか、2人乗りに伴う安全面の確認が重要になっている。レジャー用途にとどまらず、自動車の代替となる移動手段として利用が広がる一方、単独走行とは車体挙動が大きく変わるため、車両仕様や装備、走行方法を事前に確認する必要がある。
電動モビリティ専門メディアのElectrekは10日(現地時間)、電動自転車業界で成人同乗のニーズが拡大していると報じた。これまで主流だった子どもの送迎用途に加え、配偶者や友人、ルームメイトを乗せるケースが増えているという。
まず確認すべきなのは、すべての電動自転車が人を乗せる前提で設計されているわけではないという点だ。メーカーが公式に同乗を認めているかどうかに加え、リアラックやフレームが荷物用ではなく、人の体重を支えられる仕様かを見極める必要がある。
許容荷重の確認も欠かせない。運転者と同乗者の体重だけでなく、アクセサリーや荷物、子ども用シートなどを含めると上限に達しやすい。許容荷重を超えると、ラックの強度だけでなく、制動性能や操縦安定性、ホイールの耐久性、フレーム寿命にも影響するおそれがある。
安全に同乗するには、専用装備の有無も重要になる。具体的には、クッション付きシート、足置き、ホイールガード、手すりなどだ。同乗者がリアラックにそのまま座るだけでは支持が不十分で、足や衣服の裾、靴ひもなどが後輪やブレーキローターに巻き込まれるリスクが高まる。
走行時に大きく変わるのが停止距離だ。乗員が増えると慣性が大きくなり、想定以上に停止までの距離が伸びる可能性がある。特に高速走行が可能な電動自転車ほど影響は大きく、運転者は早めに減速を始め、前後ブレーキを安定して使うべきだとElectrekは指摘した。
業界では、2人乗り対応の電動自転車では油圧式ブレーキが事実上の標準になりつつあるとの見方もある。単独走行では十分だった制動力でも、同乗時には不足する可能性があるためだ。
初めて2人乗りを試す場合は、公道ではなく広い駐車場のような場所で慣れるのが望ましいという。低速で発進、停止、旋回を繰り返すだけでも、荷重が増えた際のバランス変化をつかみやすい。特に停止状態からの発進や急停止では、後方かつ高い位置に加わる荷重が車体の安定性に大きく影響する。
同乗者の姿勢も安全性を左右する。Electrekは、同乗者は重心を中央に保ち、急に体を傾けたり不用意に動いたりしないことが重要だと強調した。発進や停止の前に短く声をかけることも有効としている。
コーナリング時に同乗者が自転車とは別にバランスを取ろうとすると、かえって危険が増すとの指摘もあった。記事では、同乗者は運転者の動きに合わせ、背負った荷物のように一体となって動く意識が必要だと説明している。
車体設定とタイヤ空気圧の管理もポイントになる。リアサスペンションの調整機能を備えたモデルでは、2人乗り時にプリロードを上げることで車体姿勢を安定させやすい。一方、こうした調整機能がないモデルも多く、その場合はタイヤ空気圧の管理が現実的な対策になる。とりわけ荷重が集中しやすい後輪の空気圧を適切に保つことで、安定性の確保やパンク防止につながる可能性がある。
走行環境にも注意が必要だ。2人乗りの電動自転車は車体の全長や重量が増すため、狭い自転車レーンや急カーブ、ボラード、段差のある区間では扱いにくさが増す。路面状態が良く、道幅に余裕があり、交通の流れを予測しやすいルートを選ぶことが重要だ。
地域ごとの規制確認も欠かせない。一部地域では、電動自転車の2人乗りそのものを制限したり、ヘルメット着用、乗車姿勢、年齢基準などを別途定めたりしているためだ。事前に確認しておかないと、取り締まりや事故時の責任問題につながるおそれがある。
保護具の着用も重要だ。Electrekは、2人乗りは単独走行より本質的にリスクが高まり得るとして、運転者と同乗者の双方にヘルメット、足全体を覆う靴、長ズボンの着用を勧めた。サンダルやゆるい服装は避けるべきだとしている。
電動自転車の2人乗りは、1台で2人が移動できる点で実用性が高いと評価されている。ただ、安全に活用するには、メーカーの同乗可否、許容荷重、制動性能、同乗者の姿勢、地域ルールなどを総合的に確認することが前提となる。