米カリフォルニア州大気資源局(CARB)の認証文書から、Teslaの電動トラック「Semi」の量産仕様における電池容量が明らかになった。長距離型は822kWh、標準型は548kWh。従来想定されていた水準を下回る容量ながら、長距離型は500マイル(約805km)の航続距離を維持しており、車両効率の改善に関心が集まっている。
米EVメディアのElectrekが8日(現地時間)に報じた。CARBの行政命令文書には、Tesla Semiの長距離型(Long Range)と標準型(Standard Range)について、それぞれ822kWh、548kWhの電池仕様が記載されている。
電池容量を巡っては、Teslaのイーロン・マスクCEOが2022年のSemi公開時、500マイル走行モデルは約900kWh規模になるとの見方を示していた。今回の認証文書により、量産仕様の長距離型は822kWhであることが確認された。
それでも長距離型は、総重量8万2000ポンドの条件で従来と同じ500マイルの航続距離を確保した。業界では、Teslaが車両全体の効率を高めた結果とみる向きがある。
Teslaはこれまで、Semiの電力消費を1マイル当たり約1.7kWhとしてきた。最近公開された改良型Semiは、初期プロトタイプに比べて約1000ポンド軽量化したとされる。車体の軽量化に加え、空力性能の改善や3モーター駆動システムの効率向上が消費電力の低減につながったとみられる。
駆動系は両モデルで共通だ。800kW級の3モーターシステムを採用し、連続出力は525kWとした。充電はMCS 3.2コネクターに対応し、1.2MW級のメガチャージャーを利用できる。
競合車と比べても、電池容量と航続距離のバランスで優位性がうかがえる。Freightliner eCascadiaは最大550kWhで約230マイル、Volvo VNR Electricは564kWhで約275マイル、Nikola Tre BEVは最大で約330マイルとされる。これに対し、Tesla Semiの長距離型は822kWhで500マイルを実現した。
Electrekは、Semiの電費効率が1kWh当たり約0.6マイルに達し、競合車の0.4〜0.5マイルを上回ると評価している。
標準型の市場性にも注目が集まる。標準型は548kWhで、1回の充電で約325マイル(約523km)走行できるとされる。価格は長距離型が約29万ドル、標準型が約26万ドルと伝えられており、その差は約3万ドルにとどまる。地域物流を中心とした用途では、標準型の需要が広がる可能性もある。
電池パックの構成も簡素化された。Teslaはモジュール式の電池構造を採用しており、標準型は長距離型の3つの並列モジュールのうち1基を省いた構成とされる。これにより、電池材料の使用量と車両重量を同時に抑えたとの見方が出ている。
充電インフラの整備も進んでいる。Teslaのメガチャージャーネットワークは、米国内15州で66拠点に拡大した。2基構成の設置費用は約18万8000ドルとされる。長距離型のSemiは1.2MWの充電環境で、約30分で電池残量を60%程度まで回復できるという。
市場の関心は今後、量産ペースにも向かいそうだ。Teslaはネバダ工場でSemiの生産を開始し、電池認証や充電網の拡充も並行して進めている。一方で、今年の納車見通しは5000台から1万5000台までレンジが広く、生産拡大の速度にはなお不確実性が残るとみられている。