写真=アーサー・ヘイズ氏(BitMEX共同創業者)

BitMEX共同創業者のアーサー・ヘイズ氏は、アルトコインの大半が長期的には価値を失い、ゼロに近づく可能性があるとの見方を示した。もっとも、同氏はこれを暗号資産市場の衰退とは捉えておらず、市場で繰り返される自然な淘汰のプロセスだと位置付けている。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが9日(現地時間)に報じたところによると、ヘイズ氏は「Consensus Miami 2026」のステージで、いわゆる「ジャンクコイン」の99%は長期的な存続を想定したものではなく、多くが最終的に無価値に近づく可能性があると語った。

その上で、同氏はこうした淘汰は暗号資産市場に特有の現象ではないと指摘した。例としてS&P 500を挙げ、1929年以降に同指数に組み入れられた企業の多くが、その後に姿を消してきたと説明。長期で見れば、米国株でも多くの銘柄が生き残れなかったと述べた。

暗号資産市場との違いは、その進行速度にあるという。トークンは24時間365日取引され、参入障壁も低いため、失敗や崩壊がより短期間で表面化しやすいとの認識を示した。

ヘイズ氏は、こうした高い失敗率についても否定的には捉えていない。資金を集めて製品やサービスを試し、その中から実需を獲得できるプロジェクトを選別していくという意味で、資本形成の過程の一部だとした。

「トークンやコインではなくソフトウェアと言い換えれば、受け入れやすくなる。失敗するソフトウェアが多いのと同じで、トークンの大半も生き残れない」。ヘイズ氏はこのように述べ、アルトコインを実験的なソフトウェア事業に近い存在として捉える考えを示した。

一方、ビットコイン価格を巡っては、規制や政治よりも法定通貨の供給拡大がもたらす流動性の方がはるかに重要だと強調した。適正価値や将来価格を考える上で重要なのは、現在と将来にどれだけの法定通貨が供給されるか、そしてその増加ペースがどう変化するかだと述べた。

同氏は「米国と世界で通貨発行が増えるほど、ビットコインの法定通貨建ての価値は高くなる」「ビットコイン価格を動かすのは政治ではなく流動性だ」と語った。

また、業界内で進む伝統金融への組み込みや規制論議の高まりについても距離を置いた。中央集権型の暗号資産企業は自社事業を守るために規制を求める傾向があるものの、それによってビットコインや暗号資産の本質的な効用が変わることはないとの立場を示した。

市場参加者の多くが足元の価格上昇に目を奪われる一方で、ビットコインがゼロから出発し、1兆ドル規模の資産へ拡大した理由そのものが見落とされているとも指摘した。

ヘイズ氏は、ビットコインが約8万1000ドルで取引されている背景についても、規制当局の承認が主因ではないと説明した。銀行ネットワークや伝統的な金融システム、国家の統制の外側に価値を移転できるという効用が、なお機能しているためだという。

さらに、「ビットコインが供給量だけ固定された資産で、伝統金融のバランスシートの中にとどまるだけの存在であれば、今のようなイベントが開かれる理由はなかった」と述べた。

今回の発言は、アルトコインの大量淘汰が市場の自然な循環だとの認識と、ビットコインの独自性を改めて浮き彫りにした格好だ。アルトコインの多くが実験的なプロジェクトとして淘汰される一方、ビットコインは制度面の評価とは別に、流動性と価値移転手段としての機能を軸に評価されるべきだというのが、ヘイズ氏の基本的なメッセージといえる。

市場の注目点としては、今後も規制論議そのものより、グローバルな流動性の方向感やビットコインの実利用価値が相場に与える影響の方が大きくなる可能性がある。

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