ビットコインは8万1000ドル近辺でもみ合っている。今週は米国の重要インフレ指標に加え、ドナルド・トランプ米大統領の対イラン発言も意識されており、市場では警戒感が強まっている。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが10日(現地時間)に報じたところによると、ビットコインの短期的な上値目標として8万3400ドル前後が意識されている。一方で、主要なマクロ指標と地政学リスクが重なることで、相場の変動が大きくなる可能性もある。
市場の焦点は、米消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、小売売上高に集まっている。4月のCPIは13日、PPIは14日、小売売上高は15日に発表される予定だ。
この週には、石油輸出国機構(OPEC)の月報や4月の鉱工業生産の公表も控える。物価指標が市場予想を下回ればリスク資産に資金が向かいやすくなる半面、上振れすれば米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退する可能性がある。
政治面では、トランプ大統領の対イラン発言も相場の警戒材料となっている。同氏は、イランが47年にわたり米国や国際社会を相手に時間稼ぎを続けてきたと主張した。
さらに、オバマ前政権がテヘランに数十億ドルを渡し、そのうち17億ドルは現金だったとも述べた。ただ、新たな制裁や軍事措置については表明しなかった。
市場では、足元の上昇に対する過熱警戒もくすぶる。トレーダーのキラは「週末のビットコイン急騰をうのみにすべきではない」と指摘した。平日に集中するマクロイベントを前にした一時的な上振れにとどまる可能性がある、との見方を示したものだ。
テクニカル面では、200日指数移動平均線(EMA)の突破が重要な分岐点とみられている。ビットコインは8万1000ドル台で推移しており、200日EMAは8万2036ドルに位置する。
相場は4月初旬に6万ドル近辺から始まった上昇チャネルの中で推移している。ただ、1月以降の戻り局面でたびたび上値を抑えてきた長期トレンドラインの直下にとどまっている。
相対力指数(RSI)は65.56と、中立水準の50を上回り、買い優勢を示した。RSIの移動平均も61.89と高水準にある。
もっとも、RSIは過熱圏の目安とされる70に近づいており、上昇継続には出来高の裏付けが必要との見方も出ている。価格が200日EMAを下回ったまま、RSIが70を超えられなければ、価格の高値更新にモメンタムが追随しない弱気シグナルが意識される可能性がある。
上値シナリオでは、日足終値ベースで8万2036ドルを明確に上抜けた場合、次の目標はフィボナッチ・リトレースメント61.8%に当たる8万3399ドルとなる。この水準は上昇チャネル上限とも重なり、利益確定売りが出やすい価格帯とみられている。
その後も買いが売りを吸収できれば、今後数週間で8万6500ドルが視野に入る可能性がある。
一方、下値の支持線は7万8915ドルだ。日足終値でこの水準を割り込めば上昇チャネルが崩れ、7万4431ドルの再トライが意識されやすくなる。さらに下では、6万8884ドルが最後の主要な下値支持線として挙げられている。
資金フローは引き続き良好だ。ビットコインは2月安値の6万ドル近辺から約35%反発しており、その背景には現物ビットコインETFへの資金流入がある。
4月末までには、現物ビットコインETFに9営業日連続で計約27億ドルが純流入した。流入の大半はBlackRockのIBITとFidelityのFBTCが占めた。現物ビットコインETFの総資産は1000億ドルを超えている。
今週の相場の方向感は、主要マクロ指標の結果とテクニカル上の節目を突破できるかどうかに左右されそうだ。ビットコインが200日EMAを上回って8万3400ドル近辺に定着できるのか、それとも物価指標や地政学要因を受けて調整に向かうのかが、6月相場を占ううえでの起点となりそうだ。