写真=Morgan StanleyのX

Morgan Stanleyのビットコイン現物上場投資信託(ETF)「MSBT」は、上場初月に一度も純流出を記録せず、累計1億9400万ドルを集めた。低い運用報酬に加え、助言を介さない自己判断の顧客資金が流入を支えた格好だ。

10日(現地時間)、ブロックチェーンメディアのThe Block Cryptoは、同期間に競合するビットコイン現物ETFで、純流出ゼロを維持した商品はなかったと報じた。

MSBTは4月8日の上場初日に、純流入3060万ドル、売買代金約3400万ドルを記録した。Morgan Stanleyでデジタル資産戦略を統括するエイミー・オルデンバーグ氏は「銀行発ETFとして最も力強いデビュー」と評価。BloombergのETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏も、新規上場ETFとして上位1%に入る初動との見方を示している。

その後は流入ペースがやや鈍化した。上場後2週間は1日当たり1000万ドル台後半の純流入が続いたが、その後は数百万ドル規模に縮小した。ただ、純流出に転じた日はなかった。

SoSoValueによると、同期間のビットコイン現物ETF市場全体では、4月17日に6億6390万ドルの純流入を記録した一方、5月7日と8日にはそれぞれ2億7750万ドル、1億4570万ドルの純流出となり、資金フローの振れが目立った。

こうした中でも、MSBTは5月7日に570万ドルの純流入を確保した。同日はBlackRockのIBITが2720万ドルの純流出、FidelityのFBTCが9760万ドルの純流出、ARKBが2660万ドルの純流出だった。

MSBTは純資産価値(NAV)に対して0.24%のプレミアムで取引され、IBITの0.18%、FBTCの0.13%を上回った。市場では、需要が供給を上回っているサインと受け止められている。

資金流入の立ち上がりも速かった。MSBTは上場後6営業日で累計純流入が1億300万ドルを突破。2024年1月から取引されているWisdomTreeのBTCWの累計純流入8600万ドルを短期間で上回った。

背景の一つは手数料競争力だ。MSBTの年率運用報酬は0.14%で、ビットコイン現物ETFの中で最も低い。Grayscale Bitcoin Mini Trustは0.15%、BitwiseのBITBは0.20%、ARKBは0.21%、IBITとFBTCはそれぞれ0.25%。既存のGrayscale GBTCは1.50%となっている。

もっとも、低報酬だけで説明するのは難しい。IBITとの差は0.11ポイントにとどまり、個人投資家にとっては決定的ではない可能性がある。一方で、10億ドル規模の機関投資家資金でみれば、年間110万ドルの差になる。実際、類似の手数料水準を打ち出すGrayscale Bitcoin Mini Trustも同期間に純流出を記録しており、1日当たりの流入額でもMSBTを下回った。

初期資金の性格も特徴的だった。上場初月の流入資金の大半は、アドバイザー経由ではなく、助言を介さない自己判断の顧客から入った。Morgan Stanleyは約1万6000人の財務アドバイザーと、9兆3000億ドル超の顧客資産を抱えるが、MSBTは上場後数週間、同行の助言型資産管理プラットフォームでは提供されていなかった。

今後、アドバイザー経由の販売チャネルが本格的に開けば、MSBTは他のビットコイン現物ETF発行体が持ちにくい自前の販路を確保することになる。Morgan Stanleyはこれと並行して、Eトレードでの暗号資産現物取引サービスも試験運用しており、対象はまずビットコイン、イーサリアム、ソラナから始める。手数料は0.50%としている。

市場環境も追い風だ。ビットコイン現物ETF13本は5月8日まで6週連続の純流入となり、30億ドル超の資金を呼び込んだ。週間ベースでみると、昨年夏以降で最長の純流入局面となる。

市場全体の純資産は1066億ドルで、ビットコイン時価総額の6.67%に相当する。2024年1月の上場以降の累計純流入は593億ドルに達した。

MSBTの初月実績で目立つのは、流入額そのものよりも資金フローの安定性だ。低報酬と自己判断の顧客需要だけでも存在感を示しただけに、今後アドバイザー経由の販売が広がるかどうかが、商品拡大のペースを左右する焦点になりそうだ。

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