Alphabetが、AIインフラ関連銘柄として市場の評価を急速に高めている。株価は直近1年で約160%上昇し、10日(現地時間)の時間外取引では時価総額で一時NVIDIAを上回った。
米CNBCによると、市場が注目しているのは、GoogleがAIモデル、クラウド、自社開発半導体に加え、検索、YouTube、Androidへと広がる強固な配信基盤を併せ持つ点だ。
AIブーム初期には、Googleは競合に出遅れたとの見方が優勢だった。だが足元では、チップ、モデル、インフラ、配信基盤を一体で抱える事業構造が強みとして見直されている。Deepwater Asset Managementのジーン・マンスター氏は、GoogleについてAI分野で有利なポジションにある企業の一つだとしたうえで、収益性の高さも評価できると述べた。
ウォール街でも、決算発表を受けて見方を一段と強気に改める動きが出ている。JP MorganはAlphabetをテクノロジーセクターの最有力銘柄に位置付け、Google Cloudの成長加速と、4620億ドルに拡大した受注残を根拠に挙げた。Mizuhoも、今後2年間の市場予想はGoogle Cloudの売上高と営業利益をなお保守的に見積もっているとして、目標株価を引き上げた。
市場の関心は、とりわけクラウドと自社AIチップに集まっている。Alphabetは週末終値ベースで時価総額4兆8000億ドルとなり、5兆2000億ドル規模のNVIDIAとの差を縮めた。
両社の時価総額格差が縮小した背景には、AnthropicとGoogle Cloudの大型契約がある。Anthropicが今後5年間にわたり、Google Cloud上で5ギガワット(GW)規模の計算資源の確保に2000億ドルを投じると報じられた。
一方で、受注残の中身を巡る懸念もくすぶる。D.A. Davidsonのギル・ルリア氏は、受注残の増加分の大半がAnthropicの単独契約に起因している可能性を指摘した。2000億ドルのコミットメントがAlphabetの開示するクラウド受注残に反映されている場合、将来売上の40%超を占める可能性があるとの試算だ。
こうした懸念は、他の大手クラウド事業者にも共通する論点とされる。ルリア氏は、Microsoft、Oracle、Amazon、Googleのクラウド受注残を合計すると2兆ドル近くに達し、その相当部分がOpenAIとAnthropicのコミットメントに結び付いているとみる。両社が同じ大手テック企業から資金調達し、その資金で各社のクラウドやチップ関連サービスを購入する構図だという。
これに対し、マンスター氏は今回の契約を、AI市場がなお初期段階にあることを示す材料だと評価した。活用事例がまだ限られていても、計算需要は幾何級数的に増えており、Googleはその流れに乗るとの見方だ。仮に特定顧客の需要が揺らいでも、時間の経過とともに代替となるAI企業が数多く現れるとも付け加えた。
Googleの差別化要因としては、カスタム半導体も挙げられる。Mizuhoは、2027年までにGoogle Cloudの受注残のうち約610億ドルがTPU(Tensor Processing Unit)の販売から生じる可能性があると試算した。この売上の大半は来年計上される可能性が高いという。NVIDIA以外のAIハードウェア投資先を探す投資家にとって、Googleが有力な選択肢として浮上している背景でもある。
その半面、自社チップ需要の相当部分がグループ内の投資エコシステムから生まれている可能性も指摘されている。ルリア氏は、GoogleとAmazonが自社チップ需要の強さを打ち出している一方、その多くは投資先企業による需要取り込みによる可能性があり、必ずしもオーガニックな需要ではないかもしれないと述べた。
今後の焦点は、大規模投資をどこまで回収できるかだ。Alphabetは今年の設備投資を最大1900億ドルとしており、2025年比で2倍超の水準となる。市場は、こうした投資拡大が持続的なAI収益につながるかを見極めようとしている。とりわけ2週間以内に開催予定のGoogle I/Oでは、Geminiを基盤とするエージェント戦略と、より広いAIエコシステム全体の収益化策が主要な検証項目になりそうだ。
Alphabetは、AI後発との見方から、AIインフラ需要の恩恵を受ける銘柄へと評価を大きく変えつつある。ただ、株価が将来期待を相当程度織り込んでいる以上、今後はクラウド受注残の質、顧客集中リスク、大規模な設備投資の成果を同時に示せるかが問われる。