画像はイメージ=ChatGPTで作成

NaverとKakaoは、2026年1〜3月期の好決算を追い風に、下期のAI収益化を加速する。KakaoはKakaoTalkの会話文脈を起点にした提案型AIを広げ、Naverは検索や購買履歴を基に、商品推薦から注文・予約までつなぐ実行型AIを強化する方針だ。

両社に共通するのは、AIをユーザーの情報探索や購買行動に直接結び付け、広告やECの売り上げ拡大につなげる戦略だ。ただ、アプローチは異なる。Kakaoはチャットルーム内で利用者の意図をくみ取り、会話の流れの中で提案や購買につなげる。一方のNaverは、検索、ショッピング、決済の基盤を一体で活用し、コンバージョン向上を狙う。1〜3月期が既存プラットフォームの収益力を確認する局面だったとすれば、下期はAIが実際に広告・EC収益へ結び付くかを見極める局面になる。

◆Kakao、会話文脈ベースのAIコマースを拡大

Kakaoが2026年に最も注力するサービスは「Kanana in KakaoTalk」だ。利用者が明示的に質問しなくても、AIが必要な情報を先回りして提示する「先トーク」機能を中核に据える。予定のリマインドやブリーフィングの提供に加え、EC商品の提案までつなげる構想で、現在はAndroidとiOSで順次提供している。

4月のモニタリングでは、「先トーク」に対する肯定的な反応が約70%、AI応答の品質に対する肯定評価が約80%だった。継続利用率も、クローズドβテスト(CBT)時と同水準の約70%を維持した。

4月からは、「Kanana in KakaoTalk」と「ギフト」を連携させたエージェントコマースの初期実証も進めている。今月中には、外部のECパートナーと連携した実証にも着手する予定だ。

チョン・シナKakao代表は7日のカンファレンスコールで、「次回の決算発表までには、主要領域で複数のパートナーと連携したKakao独自のエージェントコマースの初期形を体験してもらえるだろう」と述べた。

KakaoがAIサービスをKakaoTalkに組み込む狙いは、利用指標にも表れている。ChatGPT for Kakaoの月間アクティブユーザー数(MAU)は前四半期比で約2倍に増加し、1人当たりの月間送信メッセージ数も2倍超に伸びた。利用の活性化が進めば広告在庫の拡大余地が広がり、会話の中で購買や決済が完結すれば、EC収益化の機会も大きくなる。

下期には、コマース広告面をオープン型へ移行し、プラットフォーム内の出店事業者プールを広告主として広げる計画だ。年末までに、月次のコマース取引額に対する広告売上比率を年初比で約4倍に引き上げる目標も掲げた。

Kakaoの1〜3月期売上高は1兆9421億ウォンで前年同期比11%増、営業利益は2114億ウォンで同66%増となり、1〜3月期として過去最高を更新した。トークビズ広告売上は同16%増の3384億ウォン。Bizboard以外のディスプレイ広告商品の売上比率は、2025年1〜3月期の10%台から2026年1〜3月期には30%水準まで上昇した。

◆Naver、検索・ショッピング・決済をつなぐ実行型AI

Naverは、検索後の比較・検討・購入までの導線短縮に軸足を置く。AIが比較や推薦、選択を支援し、その先の注文や予約へつなげる構造だ。

象徴的なサービスが、先月27日にNaver Plus会員向けに提供を始めた「AIタブ」だ。検索履歴や購買履歴を基にパーソナライズされた回答を返し、ショッピングや飲食店検索などNaver内サービスへの送客を狙う対話型AI検索として展開する。対象領域は美容、旅行、健康、不動産へ順次広げる方針で、収益化は第4四半期を目標とする。

2月末に公開したショッピングAIエージェントも、5月からは会員特典と配送管理を組み合わせ、コンバージョン向上につながる方向で機能を高度化する。

チェ・スヨンNaver代表は先月30日のカンファレンスコールで、「実行型AIの成否は、ログインから予約、注文、決済までを切れ目なくつなぐ取引環境にかかっている」と説明した。

社内データによると、決済インフラとの連携有無によって広告コンバージョン率に最大で約2倍の差が出たという。AIブリーフィング広告は第2四半期にテストを実施し、第3四半期に本格的な収益化に入る。まずはショッピングやローカルなど、取引への転換が見込める領域でAI広告の収益性を検証する。

下期には、会員連携による無制限の無料配送も導入する。N配送を導入した販売者の取引額増加率は、未導入の販売者より4ポイント高く、配送特典の強化後は注文頻度が25%以上伸びた。検索、推薦、決済、配送を一つの流れとして束ね、利用者がNaver内で取引を完結できるようにすることが中核戦略となる。

Naverの1〜3月期売上高は3兆2411億ウォンで前年同期比16.3%増、営業利益は5418億ウォンで同7.2%増だった。AIインフラ投資に加え、冬季五輪とLCKの中継権関連費用が営業利益の伸びを抑えた。ただ、Naverは、AIブリーフィング広告の収益化とAIタブ拡大が始まる下期から、投資効果の検証局面に入るとしている。

◆AI収益化の勝負は下期、Kakaoは滞在時間、Naverはコンバージョン

両社の勝負どころは異なる。KakaoはKakaoTalk内の滞在時間を延ばし、会話文脈を広告とECにつなげることが柱だ。これに対しNaverは、検索やショッピングの意図を決済や配送まで連動させ、どこまでコンバージョンを高められるかが焦点となる。

AIの体験設計にも違いがある。KakaoはAIが先に話しかける構造であるため、利便性と介入感のバランスが重要になる。一方、Naverは利用者がもともと検索や購買の意図を持って流入するため導入のハードルは低いが、AIの推薦が実際の取引にどの程度つながるかが収益化を左右する。

収益化のタイムラインは下期に集中する。Naverは第3四半期のAIブリーフィング広告の収益化を最初の検証ポイントと位置付ける。Kakaoは下期のオープン型コマース広告への移行と、エージェントコマースでのパートナー連携拡大を進める。

両社が2026年下期に示す成果は、AIサービスそのものの完成度だけでなく、長年積み上げてきたプラットフォーム戦略の成果を映すことになる。日々数千万人が使う2つのプラットフォームが、AIを通じてどこまで広告・EC売上に結び付けられるかが、収益化競争の最初の試金石となりそうだ。

キーワード

#Naver #Kakao #AI #KakaoTalk #検索 #EC #広告 #エージェントコマース
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.