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Pineconeが、AIエージェント向けの知識処理基盤を前面に打ち出した。ベクトルデータベースを軸にRAG(検索拡張生成)を支えてきた同社は、新たに知識エンジン「Nexus」とクエリ言語「KnowQL」を公開し、従来型RAGからの転換を訴えている。

米メディアThe New Stackによると、Pineconeは過去4年間で80万人の開発者に対し、RAG向けのチャンク化、埋め込み、検索手法を提供してきた。5月初めには、AIエージェント向け知識エンジンとしてNexusを披露した。

同社は、推論時にその都度検索する従来のRAGを、もはや旧来型の手法と位置付ける。検索と読み取りを繰り返す構造では、AIエージェントが完了できるタスクは50〜60%にとどまり、処理全体の85%がコンテキスト取得に費やされるとしている。

また、生のチャンクを高性能モデルにそのまま渡し、モデル側で意味を理解させる従来型RAGは、不安定で処理も遅く、コスト高になりやすいと主張する。

これに対しNexusは、質問を受けてから必要な情報を取りに行くのではなく、問い合わせを受ける前に知識をあらかじめ構造化しておく発想に近いという。Pineconeは、Nexusと併せて公開したKnowQLをその中核技術と位置付けている。

同社によれば、この仕組みによりタスク完了率は90%超に高まり、トークン費用は90%削減できるという。

The New Stackに寄稿したジャナキラム・MSV氏は、「検証前に数値をそのまま受け入れるのは難しいが、構造面の主張は数字とは別に正しい方向だ。一度コンパイルし、何度も参照する方がAIエージェントのワークロードに適している」と評価した。

こうした流れはPineconeに限らない。Anthropicは、頻繁に使うコンテキストを束ねて再利用できる「スキル」として提供している。AIコーディングツールCursorの「Cursor Rules」も、エディタ層で同様の役割を担うとされる。Claude Codeのサブエージェントは、作業ごとにコンテキストやツールを事前にパッケージ化する仕組みだ。LangChainのハリソン・チェイス氏は、こうした動きを数カ月にわたり「コンテキスト・エンジニアリング」と呼んでおり、Pineconeはその考え方を検索レイヤーに持ち込んだ形だと説明している。

一方で、KnowQLの普及には懸念もある。ジャナキラム・MSV氏は、「KnowQLが真価を発揮するには、SQLのように業界全体で採用される標準になる必要がある。ただ、標準は1社が宣言しただけで成立するものではない」と指摘した。

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