AnthropicでClaude Codeを担当するタリク・シヒパル氏が、AIエージェントの出力形式をMarkdownからHTMLへ切り替えるべきだとする見解を示し、注目を集めている。長文のMarkdownは可読性や共有性に課題があるとして、HTMLの優位性を訴えた。
シヒパル氏は、Markdownがエージェントとのやり取りで主要なファイル形式として広く使われている一方、限界もはっきりしてきたと指摘した。
同氏は「100行を超えるMarkdownファイルは読みにくい。可視化や色分け、ダイアグラムといった視覚表現が必要になるが、Markdownでは限界がある。共有もしにくく、ファイルを直接編集する場面も減った。編集自体をClaudeに任せることが増え、Markdown本来の利点も薄れてきた」と述べた。
そのうえで、HTMLの利点として4点を挙げた。
1つ目は情報密度の高さだ。HTMLでは表やCSSによるデザイン、SVGイラスト、JavaScriptによるインタラクション、空間データ、画像などを扱える。MarkdownでClaudeが色をUnicode文字で簡易的に表現したり、ASCIIダイアグラムを描いたりする非効率を解消できるとしている。
2つ目は可読性だ。HTMLはタブやイラスト、リンクを使って構造を視覚的に示せるほか、モバイル向けのレスポンシブ対応も可能だ。シヒパル氏は、組織内で他のメンバーに読まれにくい長文Markdownに比べ、HTMLの方が実際に読まれる可能性は大幅に高いと強調した。
3つ目は共有のしやすさだ。Markdownはブラウザでネイティブ表示されないため、共有時に添付ファイルで送る必要がある。一方、HTMLはS3などに配置すればリンク1つで共有できる。「企画書や報告書、PRの説明資料を同僚が実際に開く可能性が大きく高まる」としている。
4つ目は双方向性だ。HTML文書にはスライダーやボタンを組み込めるため、デザインオプションをその場で調整し、結果をClaude Codeに戻すことができる。これはMarkdownでは実現しにくい使い方だという。
同氏は、企画、コードレビュー、デザインプロトタイプ、報告書、カスタム編集インターフェースなど、幅広い用途でHTMLを使っていると説明した。企画段階では、複数案を1つのHTMLファイルに横並びで配置し、一目で比較できるようにしている。
コードレビューでは、GitHubの標準的なdiffビューよりも、HTMLで作成したコード説明ページの方が有効だとして、PRごとにHTMLの説明資料を付けているという。カスタム編集インターフェースでは、ドラッグ可能なカードやフォームベースの設定エディタなど、一時的な編集ツールをHTMLで作成し、最後に結果をコピーできるボタンを必ず用意するとした。
Claude Codeを使う理由については、ファイルシステムやMCP(Slack、Linearなど)、Gitの履歴、ブラウザの内容まで含めたさまざまな文脈を読み込み、それを踏まえてHTMLを生成できるためだと説明した。
もっとも、課題もある。HTMLはMarkdownに比べて生成に2〜4倍の時間がかかるうえ、バージョン管理でのdiffも複雑になり、トークン消費も増える。それでも同氏は「HTMLを使うことで、Claudeの作業により深く関与できる。以前は計画書を細かく読まなくなり、Claudeに意思決定を任せてよいのか不安だったが、今ではClaudeが何をしているのかを以前よりはるかに把握できている」と述べた。