欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は8日、ユーロの国際的な役割を強化するうえで、民間のユーロ建てステーブルコインの育成よりも、中央銀行マネーを基盤とするトークン化決済インフラの整備を優先すべきだとの考えを示した。
Cointelegraphによると、ラガルド総裁は、ドル連動型ステーブルコインへの対抗策としてユーロ建てステーブルコインを育成することは、欧州にとって必ずしも得策ではないと述べた。
総裁は、スペインのロダ・デ・バラで開かれたスペイン中央銀行(Banco de España)の中南米経済フォーラムで講演し、ステーブルコインを巡る議論では、通貨としての機能と技術的な機能を分けて論じる必要があると強調した。ステーブルコインの利点として語られる要素は両方にまたがるものの、現状では十分に切り分けて議論されていないと指摘した。
そのうえで、欧州の対案としてユーロシステムの「ポンテス」プロジェクトと「アピア」ロードマップを挙げた。ポンテスは、分散台帳技術(DLT)基盤のプラットフォームを既存のユーロシステム決済インフラに接続し、取引を中央銀行マネーで直接決済するホールセール決済プロジェクトだ。
アピアは3月に公表された計画で、2028年までに相互運用可能な欧州のトークン化金融エコシステムの構築を目指す内容となっている。
一方でラガルド総裁は、欧州連合(EU)の暗号資産市場規制「MiCA」に基づいて運用されるユーロ建てステーブルコインについて、ユーロ圏の安全資産に対する新たな国際需要を生み出す可能性があるとの見方も示した。
ただ、急激な資金流出や準備資産の脆弱性といった金融安定上のリスクが高まる可能性があるほか、預金が銀行システムの外へ流れれば、金融政策の波及経路が弱まると警告した。