米国最大の電力網運用事業者であるPJM Interconnection(PJM)が、AIとクラウドコンピューティングに伴う電力需要の急増を受け、電力網運用の抜本的な見直しを迫られている。TechCrunchが8日(現地時間)に報じた。
PJMは今週公表したホワイトペーパーで、運用のあり方を根本から見直すまでに残された時間は「数十年ではなく数年」だと指摘した。PJMの最高経営責任者(CEO)デイビッド・ミルス氏は「現状は持続不可能だ」と警鐘を鳴らした。
PJMの運用地域には、ノーザンバージニアをはじめとする大規模データセンターの集積地が含まれる。このため、今後の制度や運用の見直しはテック業界全体にも影響を及ぼす可能性があるとTechCrunchは伝えている。
PJMは2022年、接続申請の滞留が数年分に膨らんでいることを理由に、新設発電所や再生可能エネルギー設備の電力網接続申請の受け付けを一時停止していた。
電力需要が数十年ぶりに増加へ転じる局面で、新規電源の接続申請そのものができない状態になっていた。その後、PJMが受け付けを再開すると、電力会社や開発事業者から総計220GW超、800件超の接続申請が寄せられた。
PJMの主要ユーティリティの一つであるAmerican Electric Power(AEP)のCEO、ビル・フェアマン氏は、こうした問題が近く解消されるとの見通しは持てないとして、PJMからの離脱を検討していると述べた。
TechCrunchによると、データセンター需要の急拡大は、再生可能エネルギーやバッテリー技術への移行という構造変化とも重なっており、PJMは難しい対応を迫られている。電気料金の上限規制導入の可能性が取り沙汰され、ユーティリティ各社が参加に慎重になる中、PJMに残された時間は多くないとの見方も出ている。