Ethereumが暗号資産ネットワークにとどまらず、実物資産を載せる金融インフラとして存在感を高めていることを示している。写真=Shutterstock

Ethereum上の米国債トークン化市場が、半年で80億ドル(約1兆2000億円)規模に拡大した。BlackRock、Franklin Templeton、Fidelity、WisdomTreeなど大手金融機関の参入が相次ぎ、Ethereumが機関投資家向けトークン化資産の主要基盤として存在感を強めている。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、同市場は7日(現地時間)時点で80億ドルに達した。2025年11月時点の約40億ドル(約6000億円)から、約半年で2倍に拡大した計算になる。

トークン化国債は、米国債の所有権をブロックチェーン上のトークンとして発行・流通させる仕組みだ。資産の性質は従来の国債に近いが、決済や移転の仕組みは大きく異なる。

ブロックチェーン上で取引されるため、週末や祝日を含め24時間決済が可能で、従来は1~2営業日かかっていた受け渡しも秒単位まで短縮できる。暗号資産ウォレットを使えば、米銀口座がなくても投資しやすい点も市場拡大の一因とされる。

DeFiと組み合わせやすいことも特徴だ。ステーブルコイン融資の担保として活用したり、スマートコントラクトを通じて利息を自動分配したりといった運用が可能になる。

加えて、取引履歴や資金フローがパブリックブロックチェーン上に記録されるため、透明性を確保しやすい点も機関投資家の評価を集めている。

市場は一部の大型商品が牽引している。最大は、Securitizeが運用するBlackRockの「BUIDL」で、規模は約26億3000万ドル(約3945億円)。これにOndo Financeの「USDY」が約21億4000万ドル(約3210億円)、Franklin Templetonの「iBENJI」が約21億ドル(約3150億円)で続く。

このほか、Centrifugeの「JTRSY」、WisdomTreeの「WTGXX」、Superstateの「USTB」などもシェアを広げている。

Ethereumが中核基盤となっている背景には、スマートコントラクト機能の充実と、機関投資家のニーズに対応しやすい点があるとの見方がある。トークン保有ウォレットへの利息自動分配など、複雑な金融ロジックを安定して実装しやすいためだ。

一方、Bitcoinはこうしたプログラミング機能が限定的とされる。Solanaは高速処理に強みを持つ半面、運用実績の短さが弱点として指摘されている。

主要なトークン化国債商品の多くはEthereum上で運用されているか、マルチチェーン対応であってもEthereumを中核に据える。Ethereum上のトークン化国債の規模は約80億ドルで、BNB Chainの34億ドル(約5100億円)を大きく上回る。

Solana、Stellar、XRP Ledgerはいずれも10億ドル(約1500億円)未満にとどまっている。

市場拡大の背景としては、高金利環境と機関投資家マネーの流入が挙げられる。米国の高金利局面で、5~10%前後の利回り水準が意識される国債への需要が高まり、そこにブロックチェーンの効率性が加わったことで資金流入が進んだという。

Ethereumの価格が2026年2月の約1748ドル(約26万2200円)から、5月には2464ドル(約36万9600円)水準まで上昇したことも、担保価値の拡大期待を高める材料となった。

もっとも、この成長が続くとみるには不確定要素も残る。米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに転じれば国債利回りの魅力は薄れる可能性があるほか、米国のトークン化証券を巡る規制もなお整備途上にあるためだ。

それでも市場では、Ethereumが暗号資産プラットフォームの枠を超え、機関金融インフラとしての役割を広げているとの評価が強まっている。今後は金利動向に加え、米国の規制整備の進展がトークン化国債市場の成長を左右する焦点となりそうだ。

キーワード

#Ethereum #米国債トークン化 #トークン化国債 #ブロックチェーン #DeFi #BlackRock #Franklin Templeton
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.