写真=Tesla

Teslaが欧州向けModel Yの一部グレードで自社製4680ベースの「8L」バッテリーパックを採用した結果、従来搭載していたLG Energy Solution製パックに比べて航続距離が短くなったとして、ユーザーの間で懸念が広がっている。

電気自動車専門メディアのElectrekは7日、Teslaが欧州向けModel Yの一部トリムで、従来の外部調達パックに代えて4680ベースの「8L」パックを採用したと報じた。焦点となっているのは、同一モデルでバッテリーパックの変更後に認証航続距離が縮小した点だ。

欧州向けModel Yのロングレンジ後輪駆動モデルでは、従来のLG Energy Solution製「5M」パックの容量が82~84kWhだったのに対し、「8L」パックは約79kWhにとどまる。実効容量ベースでも約74kWhとされる。これに伴い、WLTP航続距離は661kmから609kmへ52km短縮し、空力性能やモーター条件が同じであるにもかかわらず、約8%の低下になったという。

4680セルそのものの性能も、当初の期待には届いていないとの見方がある。Teslaは2020年の「Battery Day」で、4680セルについて従来比でエネルギー密度5倍、出力6倍、航続距離16%改善を実現すると説明していた。

ただ、Giga Austinで生産された4680セルのエネルギー密度は244Wh/kgで、比較対象として挙げられてきたPanasonic製2170セルの269Wh/kgを下回った。Teslaは最新世代で性能改善をうたっているものの、具体的な試験データは公表していない。

充電性能を巡る評価も厳しい。2023年型の4680搭載Model Yでは、急速充電時にバッテリー残量35%付近から充電出力が100kW未満まで低下し、10%から80%までの充電に40分超を要したという。同条件での2170バッテリー搭載Model Yロングレンジは、約27~30分で充電を終えたとされる。

最近行われた欧州向け「8L」パックの初期テストでも、充電性能の鈍化が確認された。バッテリー残量31%で155kWから出力低下が始まり、評価者は充電カーブについて「非常に低い水準」と指摘した。

Teslaは2026年型Model Yについて、V4スーパーチャージャーで最大250kWの充電を維持できるとしている。ただ、「8L」パックで実際に充電性能が改善したかどうかは、独立した検証では確認されていない。

4680の量産拡大も、当初の構想ほど進んでいない。韓国の材料メーカーL&Fは、Tesla向け4680用正極材の契約規模が29億ドルから7386ドルへ縮小したと開示した。縮小幅は99.9%としている。

4680の主力搭載モデルとされてきたCybertruckの販売も、年2万~2万5000台規模にとどまっている。一方で、生産能力は25万台と示されている。4680バッテリーはコスト削減の中核技術と位置付けられてきたが、Teslaが掲げてきた乾式電極プロセスによる大幅な製造コスト低減は、なお課題を残している。イーロン・マスクCEOも2025年の株主総会で、「予想よりはるかに難しい」と述べていた。

Teslaは当初、4680バッテリーの生産目標として2023年に100GWh、2030年に3000GWhを掲げていた。だが2026年時点では、採用はModel Yの一部トリムや一部の米国仕様、Cybertruckなどに限られている。

欧州では消費者の反発も出始めている。フランスやノルウェーのEVコミュニティでは注文キャンセルの事例が報告されており、認証航続距離661kmを前提に発注したユーザーが、実際には609km仕様の車両を受け取ったとして不満を強めているという。とりわけ冬季や高速道路走行では実航続距離がさらに短くなるため、体感差が大きいとの指摘もある。

加えてTeslaは、グレードごとの4680バッテリー採用有無を明確に開示していない。車両の構成段階でもバッテリー種類を確認できず、購入時点での情報の非対称性を問題視する声も出ている。

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