エリザベス・ウォーレン氏(写真=Shutterstock)

米上院のエリザベス・ウォーレン議員が、Metaによるステーブルコイン決済拡大の動きに懸念を示し、事業計画や規制対応について説明を求める書簡を送った。Metaが外部のステーブルコインを活用した決済機能の拡充を進めるなか、米政界では金融安定性や個人情報保護、市場支配力の拡大を警戒する声が強まっている。

ブロックチェーン関連メディアのCryptopolitanによると、ウォーレン議員は7日(現地時間)、Metaに対しステーブルコイン事業の計画と規制対応の方針をただした。書簡では、Metaの動きが米国の金融システムや決済インフラ、競争環境に重大な影響を及ぼしかねないと指摘した。

今回の書簡は、MetaがFacebook上でステーブルコイン決済の導入拡大に動き出した直後に出された。Metaは先週、コロンビアとフィリピンの一部クリエイターを対象に、USD Coin(USDC)で報酬を支払う試験プログラムを開始した。決済はSolanaとPolygonのブロックチェーン上で処理されるという。

Metaがステーブルコイン決済の本格展開に乗り出すのは、2019年に打ち出した独自デジタル通貨「Libra」と、その後継の「Diem」が頓挫して以来初めてとなる。当時は、同社が決済インフラを広く支配しかねないとの懸念や、金融規制上のリスクが強まり、計画の撤回に追い込まれた経緯がある。

今回は自社でステーブルコインを発行するのではなく、外部のステーブルコインを活用する点で従来とは手法が異なるとの見方がある。Metaは、試験運用中の決済オプションを2026年末までに160カ国超へ広げる案を検討していると報じられている。

焦点は、Metaがステーブルコインを自ら発行するかどうかではなく、数十億人規模の利用者基盤を持つ同社が、ステーブルコイン決済の流通基盤として機能するかどうかに移りつつある。MetaはFacebook、Instagram、WhatsAppを通じて巨大なユーザーベースを抱えており、特定のステーブルコイン決済を一気に普及させる潜在力があるためだ。

ウォーレン議員は、Metaのステーブルコイン連携事業が十分な透明性を欠いたまま進んでいると批判した。Metaの規模を踏まえれば、競争環境のゆがみや個人情報保護への影響、決済システムの安定性低下の可能性について、慎重な検証が必要だと主張している。

また、2023年に米銀行不安が広がった局面で起きたステーブルコインのディペッグにも言及した。シリコンバレー銀行(SVB)破綻の余波で、USDCは一時0.88ドルまで下落し、ドル連動への信認が揺らいだ。Meta上でステーブルコインの利用が拡大すれば、同様のショックがより広範囲に波及する恐れがあるとの見方を示した。

これに対しMetaは、一連の見方を牽制した。広報担当者は「Metaのステーブルコインは存在しない」と述べ、自社発行の計画を否定した。一方で、利用者と企業が望む方法で支払いを行えるべきだとし、その選択肢の一つとして第三者のステーブルコインが含まれる可能性はあると説明した。

米政界では、今回の論点が暗号資産規制にとどまらず、ビッグテックによる決済支配力の問題へ広がる可能性も意識されている。ウォーレン議員は、米議会で審議中の暗号資産規制法案を巡っても、Metaが果たす役割と責任について質問したとされる。

Metaは決済手段の選択肢拡大を掲げるが、ウォーレン議員ら規制強硬派は、ビッグテックが金融インフラにまで影響力を広げる事態への警戒を強めている。Metaのステーブルコイン決済拡大が実際に進むかどうかは、今後の米国の規制の方向性と政治的な反応に大きく左右されそうだ。

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