Strategyが、配当原資の確保に向けて保有するビットコインの一部売却に言及した。これを受け、ビットコイン支持者として知られるサムソン・モウ氏は、同社が財務運営上の「選択肢」を確保したとの見方を示した。
この話題は、Strategyの第1四半期決算の説明で浮上した。Cointelegraphによると、マイケル・セイラー会長は、将来的にビットコインの一部を売却する可能性を示唆した。従来の強気な長期保有姿勢とは異なる発言として受け止められている。
セイラー会長は配当の考え方についても説明した。ビットコイン価格が年率2.3%を超えて上昇すれば、同社は配当を恒久的に負担でき、MSTR普通株を追加で売却せずに支払いを続けられると述べた。そのうえで、必要に応じてビットコイン売却によって配当原資を確保できるとの認識を示した。
発言のポイントは、Strategyがビットコインを単なる長期保有資産としてではなく、資金運用の手段としても位置付け始めた点にある。セイラー会長は、優先株STRCの追加発行も可能だとしたうえで、ビットコイン価格が損益分岐点を上回る状態が続けば、配当を維持しながら保有量を増やすこともできると説明した。
これに対しモウ氏は、「絶対に売らない」という姿勢は、かえって選択肢を狭めると指摘した。さらに「公開市場は戦争であり、戦争では使えるあらゆる道具が必要だ」と述べ、Strategyのような上場企業は資本市場の環境に応じて柔軟な手段を持つべきだとの考えを示した。
市場では、実際に売却に踏み切るかどうか以上に、売却という選択肢が開かれたこと自体に注目が集まっている。ビットコイン・トレジャリーズの集計ベースで、Strategyは上場企業として最大のビットコイン保有企業だ。保有量は81万8334BTCに上り、この規模の企業が一部でも市場で売却すれば、現物相場の重しになりかねないとの見方もある。
同社の買い増し手法にも改めて関心が向かっている。Strategyはこれまで、負債と株式性商品を組み合わせてビットコインを積み増してきた。こうした手法は、既存株主価値の希薄化やレバレッジ拡大への懸念を招いてきた経緯がある。今回、配当原資としてビットコイン売却の可能性にまで踏み込んだことで、資金調達と資産運用の両面で選択肢が広がったとの見方が出ている。
前提となるのは、ビットコイン価格の水準だ。同社サイトによると、平均取得単価は7万5537ドル。足元のビットコイン価格は約7万9976ドルで、平均取得単価を上回っている。セイラー会長が描く配当原資の構想も、ビットコイン価格が平均取得単価を上回って推移することが条件になる。
今後の焦点は、実際に売却を行うのか、行う場合はどの程度の規模になるのかに移る。保有ビットコインを積み上げつつ必要に応じて一部を現金化する方向へ戦略を調整するのか、それとも市場の反応を探る段階の発言にとどまるのか。ビットコインを「売らない」ことの象徴性が薄れれば、同社の財務戦略や市場への影響力に対する見方も変わる可能性がある。