ホルムズ海峡周辺で米軍がイランのタンカーに警告射撃を行ったとの報道を受け、原油と暗号資産の両市場が大きく揺れた。中東情勢の緊迫化を受けてビットコイン(BTC)や主要アルトコインには売りが先行したが、その後に原油相場が急落したことで、暗号資産市場もいったん落ち着きを取り戻した。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、7日(現地時間)の市場では、中東での軍事衝突が拡大するとの警戒感からリスク回避の動きが強まり、BTCと主要アルトコインが下落した。投資家がリスク資産へのエクスポージャーを縮小し、売り圧力が暗号資産市場全体に広がったためだ。
値動きの発端となったのは、米国側とイラン側の発表が食い違っている点だ。イラン国営メディアは、米軍がイラン籍タンカーを攻撃し、これに対してイランがホルムズ海峡周辺で活動していた米海軍艦艇にミサイルを発射したと主張した。イラン(テヘラン)は一連の対応について、周辺海域での米国の攻撃に対する報復だとしている。
これに対し米中央軍は、米軍が先に警告射撃を行った後、タンカーが命令に従わず封鎖線への進入を試みたため、これを停止させたと説明した。米側はイランのタンカーと接触したことは認めたものの、米艦艇が被害を受けたとの主張は否定している。
市場はこうした報道に即座に反応した。軍事衝突の拡大懸念が強まるなか、BTCと主要アルトコインは下げ幅を広げた。ただ、原油相場が早い段階で下落に転じたことで、暗号資産市場では急速な追加下落は回避された。
原油の下落は、市場が今回の事態をどう織り込んだかを示している。当初は、中東の供給網に混乱が及べばエネルギー価格が一段と上昇するとの見方が出ていた。だが原油市場では、今回の衝突が実際に海上輸送の混乱につながるかどうかを見極める動きが広がり、一部の市場参加者は今回の売りを長期的な需給悪化ではなく、一時的なポジション調整と受け止めた。
ホルムズ海峡は、世界の原油と液化天然ガスの輸送量の約20%が通過する主要航路だ。この海域で輸送に支障が出れば、エネルギー価格だけでなく、インフレ期待や株式、暗号資産を含む投資家心理全般に影響が及ぶ可能性がある。今回、原油が急落したことは一部の分析者にとっても想定外で、供給懸念が直ちに価格急騰につながるとの見方とは異なる動きとなった。
市場の関心は今後、テヘランとワシントンの追加発表や、米中央軍の続報に移る。とりわけ焦点となるのは、ホルムズ海峡での船舶運航に実際の支障が出ているかどうかだ。輸送の混乱が公式に確認されれば、原油や株式、暗号資産市場の不安定な値動きが再び強まる可能性がある。