JPモルガンは、地政学リスクの高まりを受けた安全資産需要が金だけでなくビットコインにも向かっており、足元ではビットコインの方がより強い動きを見せているとの見方を示した。
ブロックチェーンメディアのCoinPostが8日付で伝えた。JPモルガンは最近のリポートで、ビットコインが金を上回るパフォーマンスを示しており、法定通貨の価値低下に備えて代替資産を買う「ディベースメント・トレード」の中核資産になりつつあると分析した。
ディベースメント・トレードは、通貨価値の下落に備えて金や暗号資産などを買う投資行動を指す。JPモルガンは3月、イラン情勢の緊迫化を受け、ビットコイン現物ETFと金現物ETFの資金フローの差に注目していた。
今回のリポートで主な根拠として示したのは、現物ETFへの資金流入だ。ビットコイン現物ETFは5月までの3カ月連続で純流入を記録した一方、金現物ETFは3月の地政学リスク拡大局面で流出した資金をなお取り戻せていないと指摘した。ビットコインが金に代わる主要な価値保存手段として存在感を強めているとの見方も示した。
機関投資家のポジショニングもビットコインに傾いているという。ニコラオス・パニギルツォグル氏率いるJPモルガンの分析チームは、シカゴ商品取引所(CME)のビットコイン先物とオフショア無期限先物の未決済建玉データを基に算出した独自指標が過去最高を更新したとした。モメンタム投資家の動向を示す指標も、イラン情勢の緊迫化以降はビットコインで持ち直したとしている。
需給面では、Strategyによる積極的な買いも主要因に挙げた。マイケル・セイラー氏率いるStrategyは、2026年に入ってから14万5834BTCを追加購入した。JPモルガンは、現在の購入ペースが続けば年換算で約300億ドル(約4兆5000億円)規模に達する可能性があると試算した。これは2024年と2025年にそれぞれ記録した約220億ドル(約3兆3000億円)を上回る水準だという。
市場でもStrategyの買いに関心が集まっている。TDコーウェンは今週、Strategyの目標株価を385ドルから395ドルへ引き上げた。Strategyは2026年1〜3月期決算で、ビットコイン価格の急落を受けて144億ドル(約2兆1600億円)の評価損を計上したが、5月時点では評価益に転じたとされる。
今後の注目点としてJPモルガンは、ビットコイン現物ETFへの純流入が続くか、金現物ETFの資金がいつ回復するか、さらにStrategyが現在の購入ペースを維持できるかを挙げた。加えて、STRCの永久優先株の配当原資を確保するため、保有ビットコインを売却する可能性や、機関投資家のポジション変化も市場の焦点になるとみている。
JPモルガンは、足元の安全資産需要が金にとどまらずビットコインにも広がっていると分析する。現物ETFの資金フロー、先物市場の建玉動向、Strategyの大規模購入がそろってビットコインを支えている、というのが同行の判断だ。