米国防総省が、機密ネットワーク向けのAI導入を本格化する。TechCrunchが1日(現地時間)に報じたところによると、同省はOpenAI、Google、SpaceX、NVIDIA、Microsoft、Amazon Web Services(AWS)、Reflection AIと契約し、各社のAIモデルや関連技術を機密環境で運用する方針だ。特定ベンダーへの依存を避けるため、複数の米国企業を同時に採用した。
対象となるのは、インパクトレベル6(IL6)と7(IL7)の環境だ。IL6とIL7は、それぞれ「秘密」「極秘」に相当する区分で、各モデルは機微情報や情報・作戦関連データを扱う環境での利用を想定している。
今回の採用では、クローズドモデルとオープンソースモデルの双方を選択肢として確保した。国防総省は、単一企業への依存を避けつつ、用途に応じて複数のモデルを使い分けられる体制を整える考えとみられる。
企業ごとの役割も分かれる。NVIDIAはオープンソースのNemotronモデルを提供し、Reflection AIは追加のオープンウエイトシステムを供給する。Googleは、適法な政府利用を前提にGemini系モデルを提供する。SpaceXはxAIのGrokモデルと接続するインフラを担う見通しで、MicrosoftとAWSはクラウドおよび基盤インフラを支える。
一方、今回の採用リストからAnthropicは外れた。報道によると、ピート・ヘグセス氏は2月、Anthropicが自律型致死兵器や大規模な国内監視に関する制限を撤廃しなかったとして、同社をサプライチェーンリスクとみなした。その後、連邦裁判所が禁止措置の執行を差し止めており、法廷闘争は続いている。
OpenAIは今回の契約でも、自社の安全原則3項目を維持すると表明した。一方、他社は、こうした公開条件を付さずに「適法なあらゆる目的」という条件を受け入れたとされる。
国防総省内でのAI活用も広がっている。安全な生成AIプラットフォーム「GenAI.mil」は、提供開始から5カ月で利用者が130万人を超え、プロンプト数は数千万件に達した。同プラットフォームは、政府承認済みのクラウド環境で大規模言語モデル(LLM)や各種AIツールを提供しており、研究、文書草案の作成、データ分析など、主に非機密業務の支援に使われている。
今回の契約は、国防総省が先に公表したAI加速化戦略とも連動する。同省は、戦闘、情報、行政機能全般でモジュール型のオープンソースアーキテクチャの活用を広げる方針を示しており、米国企業の採用、透明性の高いオープンウエイトの選択肢、迅速な試作開発を重視している。