Mercuryのサービス画面(画像=Mercury)

米フィンテックのMercuryが、独自の銀行設立に向けて前進した。米通貨監督庁(OCC)は同社の国家銀行免許申請を条件付きで承認した。Mercuryは今後、ユタ州に本社を置く「Mercury Bank」の設立に向け、残る規制手続きを進める。

フィンテック専門メディアのFinTech Futuresが29日(現地時間)に報じた。Mercuryは2025年12月に国家銀行免許を申請しており、約5カ月で条件付き承認を得たことになる。

同社は現在、最終認可とMercury Bankの立ち上げに必要な要件を満たす段階に入った。今後も規制当局との協議を続けながら、残る手続きを進めるとしている。

新銀行の本社はユタ州に置く予定。経営はCEO兼社長のジョン・オクシア氏が担う。オクシア氏は2025年8月に最高銀行責任者(CBO)としてMercuryに加わった。以前はSoFi Bankで最高財務責任者(CFO)を務めており、Mercuryは、SoFiの国家銀行免許への移行を進めた実績がある人物だと説明している。

もっとも、今回の条件付き承認で銀行設立が確定したわけではない。Mercuryは国家銀行免許の申請と並行して、連邦預金保険公社(FDIC)に預金保険の適用を申請している。加えて、Mercury Technologiesは今後、連邦準備制度理事会に銀行持株会社への転換を申請する方針で、監督当局ごとの手続きを順次完了する必要がある。

Mercuryは、銀行事業が本格稼働すれば、現時点では提供できていない機能を顧客に展開できるとしている。具体例として挙げたのが、個人間送金や企業決済に対応するデジタル決済ネットワーク「Zelle」との口座直接連携だ。あわせて、法人・個人向け融資商品の拡充や、より迅速な資金移動、決済処理の直接管理も可能になるとしている。

こうした動きは、これまでの提携銀行中心の事業モデルを見直す流れとも重なる。2017年設立のMercuryは現在、Choice Financial Groupと、インフラ提供銀行のColumnを通じて、米国内の30万人超の顧客に法人・個人口座を提供している。同社は新銀行の準備期間中も既存の提携銀行体制を維持し、現行事業を継続しながら立ち上げを並行して進める考えだ。

事業規模も拡大している。Mercuryによると、年間換算売上高は約6億5000万ドルで、米国会計基準ベースでは4年連続で黒字を計上した。こうした実績が、単なるサービス拡大にとどまらず、自ら銀行を持つ体制への転換を後押ししている。

資金調達面でも投資家の支援を維持している。MercuryはSequoia Capital、Spark Capital、Marathon、Coatue、CRV、Andreessen Horowitzなどの出資を受ける。2025年3月には3億ドル規模のシリーズCを実施し、企業価値は35億ドルと評価された。

今回の条件付き承認は、フィンテック各社が提携銀行モデルに依存する段階から、自前の銀行ライセンス取得へ踏み込む流れを映すものといえる。一方で、Mercury Bankの開業には、FDICの預金保険取得や銀行持株会社化に向けた承認など、なお複数の手続きが残っており、実際の立ち上げ時期は今後の審査の進展に左右されそうだ。

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