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SpaceXが、新規株式公開(IPO)後もイーロン・マスク氏の経営支配を維持できる統治設計をIPO関連書類に盛り込んだことが分かった。750億ドルの資金調達と企業価値約2兆ドルを目指す大型上場として注目を集める一方、個人投資家保護やロックアップ解除後の需給悪化が主な論点に浮上している。

29日付のCryptopolitanによると、SpaceXは上場後も、マスク氏の同意なしに同氏をCEO兼同社の取締役会議長の職から外せない仕組みを採用した。

中核となるのは、議決権に差を設けるデュアルクラス株式だ。一般投資家にはクラスA株を割り当て、内部者には1株当たり10議決権を持つクラスB株を付与する計画という。

マスク氏がクラスB株の過半を握れば、経営陣の交代や重要事項の決定に対して実質的な支配権を維持できる。関連書類には、この構造が一般株主の意思決定への影響力を制限、あるいは排除する可能性があるとの注意書きも盛り込まれた。

今回の上場は、規模の大きさでも市場の関心を集めている。SpaceXは750億ドルの調達と、約2兆ドルの企業価値を目標に掲げる。主幹事はMorgan Stanley、Goldman Sachs、JPMorgan、Bank of America、Citigroupが務める。

一方で、2025年の売上高156億ドルを基準にすると、株価売上高倍率(PSR)は100倍超となり、S&P500構成銘柄と比べても高水準だとの見方が出ている。

市場では個人投資家の保護も焦点だ。SpaceXのCFO、ブレット・ジョンソン氏は、個人投資家の参加が今回のIPOの中核であり、過去のどのIPOよりも高い比率を占めるとの見方を示した。実際、保有株の最大30%が一般投資家向けに配分される予定だという。

ただ、財務アドバイザリー業界では上場直後の買いに慎重な見方もある。シカゴのPrivate Vistaでパートナーを務めるマシュー・パレンティ氏は、SpaceXはApple、Amazon、Metaとは異なり、企業価値上昇の相当部分を未公開市場で織り込んだうえで創業24年目に上場するため、長期収益への期待は引き下げる必要があると述べた。

ロックアップ解除の時期も変動要因になりそうだ。内部者と従業員は通常、上場後180日間は株式を売却できないが、今回のロックアップは2026年12月中旬から下旬にかけて終了する見通し。低い取得価格の内部保有株が市場に大量に流入すれば、初期の期待で買い付けた投資家にとっては値下がり圧力が強まる可能性がある。

マスク氏の報酬制度にも改めて注目が集まっている。SpaceXの取締役会は1月、企業価値が7兆5000億ドルに達し、火星に100万人超が居住する恒久的な定住地を構築した場合、マスク氏に最大2億株の譲渡制限付きクラスB株を付与する報酬案を承認した。現在の同氏の年俸は5万4080ドル水準とされる。

こうした懸念を背景に、SpaceXはテキサス州とテネシー州で非公開説明会を開催し、主要事業拠点をアナリストに公開している。大型IPOの成否を左右する要素として、ガバナンス、バリュエーション、ロックアップ解除後の売り圧力が上場前の主要論点となっている。

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