NXP Semiconductorsの株価が29日(現地時間)、約26%上昇した。前日に発表した1〜3月期決算が市場予想を上回ったことが好感され、2010年の上場以来最大の上昇率となる可能性が意識された。
米CNBCによると、調整後1株利益(EPS)は3.05ドルで、LSEG集計の市場予想である2.95ドルを上回った。売上高は31億8000万ドルと、前年同期比12%増加し、市場予想の31億6000万ドルを上回った。
今回の株価上昇は、単なる決算の上振れだけではない。投資家は、同社が自動車向け・産業向け半導体を主力としながら、データセンターインフラ需要の拡大も取り込めるとの見方を強めた。
ラファエル・ソトマヨルCEOは成長要因として、ソフトウェア定義車両(SDV)とフィジカルAIを支える産業・自動車分野の処理需要を挙げた。
NXP Semiconductorsは、NVIDIAやAMDのようにGPUを手掛ける企業ではない。自動車向け半導体の比率が高く、データセンター分野でもAI向け演算半導体ではなく、電力やインフラ制御に重点を置いている。
ソトマヨルCEOは決算説明会のコンファレンスコールで、データセンターの大規模化が進むにつれ、課題は演算やメモリにとどまらず、電力、冷却、稼働時間、セキュリティ制御にも広がると指摘した。その上で、こうした領域こそ同社の強みだと説明した。
同社は、2025年のデータセンター関連売上高が約2億ドル(約300億円)だったと明らかにした。ソトマヨルCEOは、2026年にはこれが5億ドル(約750億円)を超えるとの見通しを示した。
自動車向け・産業向け半導体を中核とする同社が、データセンターインフラ市場でも存在感を高める姿勢を鮮明にした格好だ。
証券各社も決算発表後に目標株価を引き上げた。TDコーウェンは250ドルから310ドルに、Morgan Stanleyは299ドルから335ドルにそれぞれ上方修正した。
Morgan Stanleyのジョセフ・ムーア氏は、同社が長期的な成長シナリオへの自信と方向性を明確に示したと評価し、事業遂行力に対する見通しも一段と高まったと指摘した。
半導体セクター全体の投資家心理も改善している。主要半導体銘柄の値動きを映すVanEck半導体ETFは、今月に入って約30%上昇した。
こうした相場環境の中で、NXP Semiconductorsは従来の自動車向け半導体メーカーという位置付けにとどまらず、AI普及に伴うデータセンターインフラ需要の恩恵を受ける銘柄として再評価されている。
もっとも、同社の立ち位置はAI向け演算チップメーカーとは異なる。会社側が成長分野として強調するのもGPU需要ではなく、データセンター運営に不可欠な電力、冷却、セキュリティ制御などの基盤インフラだ。
市場では今後、自動車向け・産業向け半導体の成長持続に加え、データセンター関連売上高が会社計画に沿って拡大するかどうかが焦点となりそうだ。