韓国政府は、人工知能(AI)を軸に素材研究開発(R&D)体制の転換を進める。長期化・高コスト化しやすい素材開発を、AIモデルとロボット活用の実験、データ基盤を組み合わせる形へ改め、先端・未来素材の確保を加速する方針だ。
韓国科学技術情報通信部は4月30日、政府ソウル庁舎で開いた第8回科学技術関係閣僚会議で、「AI素材R&Dプラットフォーム構築戦略(2026〜2030)」を決定した。
戦略の柱の一つは、独自の「素材AIモデル」の開発支援だ。新素材設計の精度向上と開発期間の大幅短縮を狙う。素材の主要要素である6大物性(機械、磁気、電気、化学、熱、光学)をそれぞれ予測する「物性AIモデル」に加え、6大物性の相関を同時に予測・設計する「多重物性AIモデル」の開発を進める。
あわせて、素材AIモデル、自律実験、データプラットフォームを連携させる「AI素材研究パートナー」の構築も進める。研究者が研究開発の全工程を主導できる環境を整える考えだ。
このほか、素材合成から試作品製造までを24時間体制で自動化し、実験と検証を行う「AI素材専用自律実験センター」を主要戦略分野ごとに整備する。ロボットとAIを組み合わせ、素材の設計、合成、分析、評価までの全工程を自動で担う実験環境と位置付ける。
データ基盤の整備も進める。2026年下半期には「国家素材研究データ統合センター(仮称)」を指定し、既存の素材研究データ生態系プラットフォームを拡充・再編した「国家素材研究データ統合プラットフォーム(仮称)」を構築する計画だ。
同日の科学技術関係閣僚会議ではこのほか、国家戦略技術を先導する「NEXTプロジェクト」の推進方向も決定した。国家戦略技術分野のR&D投資を今後5年間で60兆ウォン以上に拡大し、国家的な任務の達成に向けた中核事業を重点支援する方針を示した。
関係省庁に産学研を加えた「NEXTアライアンス」も構築する。プロジェクトの全過程で成果創出を後押しする考えだ。
さらに、既存の海外IT支援センターをAIの全周期支援拠点「KAIN」として再編する「グローバルAI革新拠点構築戦略(案)」や、先端科学技術を活用して麻薬問題の未然防止を図る「麻薬対応能力強化のための科学技術支援方策(案)」も確定した。
行政安全部は、AIなど民間の最新技術を適用した「OnAI」にモバイルサービスを導入し、中央行政機関全体への拡大を進める方針も決めた。会議の第1号議題だった「AI大転換時代のデータ政策推進方向(案)」については、同日の討議内容を踏まえて後日確定する。
ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は「政府はAI基盤の科学技術革新、AIエコシステムの高度化、責任あるAI活用に向け、多角的なグローバル協力を拡大していく」と述べた。そのうえで「政府のAI投資と支援の成果を国民に示していく」と語った。