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4月最終週の暗号資産市場では、ビットコインの反発に加え、米国の規制法案を巡る停滞、量子コンピューティングによるセキュリティリスク、XRPを巡る強気・弱気の見方の対立、ステーブルコイン規制の進展が同時に意識された。相場、制度、技術の各面で材料が重なった1週間となった。

市場では、グローバルのデジタル資産企業が相次いで韓国を訪れ、参入意欲を示す動きも目立った。一方で、韓国ではデジタル資産基本法を含む第2段階の法整備が国会で進まず、制度化の遅れを懸念する声が業界内外で強まっている。デジタル資産市場が機関投資家の参入やAIベースの決済エコシステムを軸に再編されるなか、規制の空白が国内産業の競争力低下につながりかねないとの指摘も出ている。

ビットコインは4月に13.6%上昇し、この1年で最も高い月間上昇率を記録した。短期的な調整局面でもオンチェーンデータは底堅さを示しており、長期保有者の保有量は69%増加した。価格下落局面でも売り圧力が限定的だったことを示す動きとして受け止められている。

一部で取り沙汰された「4万ドル急落説」については、専門家から現在の需給構造では統計的に極めて起こりにくいとの見方が示された。ウォール街の機関投資家によるビットコイン現物ETFへの資金流入が続いており、極端な下落シナリオの現実味は後退したとの声が多い。

一方で供給構造には変化も見られる。今年に入り、29万BTCが個人ウォレットから流出し、保有主体が機関投資家中心へと移る流れが鮮明になっている。分散性の象徴とされてきたビットコインが、機関投資家の主要資産として再定義されつつあるとの見方も出ている。

暗号資産を巡る米中の戦略の違いも、今週の注目材料となった。米国がビットコインを国家安全保障上の資産として取り込む動きを強める一方、中国は既存の金融システムのデジタル化を軸とする戦略を維持しているとされる。また、米軍がビットコインノードを公式に運用している事実が初めて確認されたことも、市場で関心を集めた。

米国では、暗号資産市場の制度化を担う主要法案とされるクラリティ法案が、4月中の上院審議入りを果たせず、今後の行方が改めて焦点となった。暗号資産業界の約120団体は共同書簡を通じて上院に早期審議を求めたが、ステーブルコインの利払い禁止条項を巡るCoinbaseと銀行業界の対立が、法案審議の足かせになったとみられている。

同法案は、暗号資産を証券か商品かに分類する基準を設け、開発者保護条項も盛り込む内容で、米暗号資産業界の法的基盤になると期待されてきた。ただ、ステーブルコイン保有者への利払いを禁じる条項がCircleやCoinbaseの反発を招いており、年内成立の可能性は3分の1程度にとどまるとの見方もある。

ステーブルコインを直接対象とするGENIUS Actを巡っても、銀行業界が施行猶予を求めており、制度整備にブレーキがかかっている。表向きには規定の不備や準備不足が理由とされるが、実際にはステーブルコインが銀行預金市場を侵食することへの警戒感が背景にあるとの見方が強い。

技術面では、量子コンピューティングによる暗号資産セキュリティへの影響が大きなテーマに浮上した。研究者が量子コンピューターを使って15ビット規模の暗号解読に成功し、1BTCの懸賞金を獲得したとの報道を受け、業界内の警戒感は一段と高まった。現時点でビットコインの実際の秘密鍵を脅かす水準ではないものの、技術進歩のスピードは想定以上だとの懸念が広がっている。

さらに、ランサムウェア集団「Kaiver」が実際のサイバー攻撃で量子耐性暗号を使用していたことが初めて確認され、波紋を呼んだ。セキュリティ業界では、誇示を狙った心理戦の側面があるとの見方が出ている一方、量子セキュリティの脅威がもはや「将来の話」ではなく、「現在の論点」になりつつあるとの受け止めも強まっている。

こうした動きを受け、量子耐性を掲げる暗号資産QRL(Quantum Resistant Ledger)への関心も高まった。QRLトークン価格は前週比で大きく上昇し、関連銘柄に資金が向かう動きもみられた。

XRPは今週も、強気論と慎重論が鋭く対立する銘柄として市場の注目を集めた。価格は1.44ドル(約216円)近辺で推移し、三角持ち合いの分岐点に近づいている。テクニカル面では、上放れか再下落かの節目にあるとの分析が相次いだ。

一方、中長期の価格見通しを巡る議論は一段と過熱した。「2030年までにXRPが資産上位1%を生む」といった強気の見方が出る一方で、「1000ドル」や「500ドル」といった目標価格は現実味に乏しい誇大な予測だとする批判も根強い。保有数量そのものより、分割売却や出口戦略の設計が重要だとする実務的な見方も広がっている。

ステーブルコイン市場では、規制を巡る動きが目立った。欧州ではMiCA施行後、ユーロ連動型ステーブルコインの発行量が1200%超増加した。規制の明確化が市場拡大を後押しした事例として注目されている。

Tron創業者のジャスティン・サン氏は、「ステーブルコインはすでに市場で勝者の地位を確立しているが、ワシントンだけがその現実を理解していない」との認識を示した。米国で立法の遅れが続けば、ステーブルコイン産業の海外流出を加速させかねないとの警告と受け止められている。

その一方で、SpaceX、OpenAI、Anthropicといった大手テック企業による大型IPOが相次げば、暗号資産市場の流動性を吸収する可能性があるとの懸念も浮上した。伝統的な株式市場と暗号資産市場の資金獲得競争は、下半期の重要な変数として意識されている。

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