著名投資家のポール・チューダー・ジョーンズ氏が、Bitcoinを金より有力なインフレヘッジ資産と位置付ける一方、米国株については高バリュエーションに警戒感を示した。CoinDeskが28日に、同氏のポッドキャストでの発言として報じた。
ジョーンズ氏はインタビューで、「Bitcoinは疑いなく最良のインフレヘッジだ」と述べた。
その根拠として挙げたのが供給の上限だ。Bitcoinの総発行量は2100万枚に制限されているのに対し、金は採掘によって毎年供給が増える。このため、希少性の面ではBitcoinの方が優位だと説明した。
同氏は、こうした供給制約が長期的な価値の下支え要因になり得るとの見方も示した。
さらに、Bitcoinの投資妙味を過去の流動性拡大局面と重ね合わせた。2020年3月の新型コロナウイルス禍では、各国の中央銀行と政府が大規模な金融・財政刺激策を打ち出し、インフレヘッジ資産への関心が急速に高まったと振り返った。
当時、Bitcoinは最も有望なインフレヘッジ資産に見え、その後実際に大幅な上昇を記録したという。
一方、米国株については慎重な見方を示した。現在のバリュエーションは歴史的に見ても極めて高い水準にあり、今後の期待収益率は限られる可能性が高いと指摘した。
ジョーンズ氏は「この水準でS&P500を買えば、今後10年の期待収益率は実質的にゼロ、あるいはマイナスに近い」とも語った。
株式需給の悪化要因にも触れた。今後はSpaceXのような大型IPOに加え、OpenAIやAnthropicといったAI企業の上場が相次ぐ可能性があると指摘した。
その一方で、これまで相場を支えてきた自社株買いが減れば、新規供給の増加圧力が一段と強まると説明した。
米国株の時価総額が国内総生産(GDP)比で252%に達している点にも言及した。これは、1929年の大恐慌直前や1987年のブラックマンデー、2000年のドットコムバブル期に比肩する歴史的な高水準だとした。
同氏はまた、米金融市場が現在、株式を中心に過度なレバレッジを抱えていると分析した。
この構造の下で株式市場が調整すれば、影響は金融市場にとどまらず、実体経済や財政、債券市場にも波及しかねないと警告した。米国では税収の相当部分がキャピタルゲイン課税と結び付いており、株価急落時には税収減と財政赤字の拡大が同時に進む可能性があるとみている。
さらに、債券市場の軟調が重なれば、金融市場のショックが実体経済へ急速に波及する恐れがあると述べた。
今回の発言は、Bitcoinを単なるリスク資産ではなく、供給制約を持つデジタル資産として捉える見方を改めて示したものといえる。一方で、米国株についてはバリュエーション負担と需給悪化の双方を懸念していることが浮き彫りになった。
ジョーンズ氏は、インフレや流動性環境の変化が続くなかで、資金がどの資産に向かうかが今後の焦点になるとみており、その過程でBitcoinが金に代わる有力な選択肢になり得るとの見方を示している。