科学技術情報通信部は、国会対応など庁内業務へのAI活用を本格化する方針だ。写真=Shutterstock

科学技術情報通信部が、庁内文書の一元管理を軸にAI行政基盤の整備を進める。まずは文書一元管理システムと統合検索基盤を構築し、国会・対外答弁、予算審議資料の検索などに対応する特化型AIエージェントを年内に整備する計画だ。

デジタルトゥデイが29日に入手した「人工知能活用による行政の生産性・効率性強化方案研究」によると、同部は庁内でAI活用を広げる前提として、文書の一元化と統合検索を支えるプラットフォーム整備が必要だと判断した。これは、同部がAX推進体制の構築に向けて進めた政策研究の報告書だ。

同部は「AI基盤特化行政サービス構築(AI-NEXT)」事業を通じ、内部業務へのAIエージェント導入を進めている。狙いは、知能型の業務環境を整備し、行政の生産性と効率を高めることにある。

すでに庁内職員が参加する「AIサピエンス」チームが開発したAIエージェントをグローバルイシュー分析に活用するなど、行政分野でのAXを加速させている。

報告書は、現在のように文書やデータが庁内に分散した状態では、AIを活用した行政高度化には限界があると指摘した。このため、行政文書を統合管理する文書一元管理システムの構築を最優先課題に位置付けた。

あわせて、大規模言語モデル(LLM)と連携する知能型の業務支援体制を整える必要があるとした。生成AI活用の基盤としては、内部文書を活用して検索、要約、作成、検証を自動化するRAGが中核技術になると見込んでいる。

具体的には、文書一元管理システムで全庁のデータを集約管理し、RAGシステムがそれをAIで活用可能な知識データへ再構成して回答生成に用いる構想だ。生成や推論の機能は、政府共通のAIプラットフォーム上のLLMと連携し、継続的にサービスを運用する案も盛り込んだ。

報告書は、同部のAI転換の到達点を「知能型AIエージェント・プラットフォーム」の構築と定義した。業務の種類に応じてAIが必要資料を探し、分析結果を作成し、その成果を知識資産として蓄積・再利用する仕組みを想定している。

こうした方針は、同部が最近公表したAI-NEXT構築の提案要請書にも反映された。

同部はまず、(1)国会・対外答弁支援、(2)科学技術情報通信部の予算審議資料検索、(3)主要メディア動向の作成支援、(4)機材適合性評価の対象可否判断および業務支援、(5)無線局許可検査業務支援――の5分野に特化したAIエージェントを年内に構築する予定だ。

このうち国会質疑対応エージェントは、画像やPDF形式で受け付ける質疑書をAIが識別・構造化し、所管部署の対応判断に活用する方向だ。予算審議資料検索では、関連資料をベクトルデータベース化し、生成AIによる自然言語検索を可能にすることで、業務効率の向上を図る。

同部関係者は「文書を一元化して資産として蓄積する過程を経て、業務に適用可能なAIエージェントを開発する予定だ」としたうえで、「年末までに特化型AIエージェントの第1段階の構築を完了する計画だ」と述べた。

業界では、文書一元管理システムの整備が、今後の公共分野におけるAI活用の水準を左右するとの見方が出ている。分散した資料を正確に収集・統合することが、AIエージェントの精度を高める前提条件になるためだ。AI行政を所管する同部が実際に構築段階へ進めば、政府組織全体へのAI行政モデルの波及も加速する可能性がある。

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