リアルタイム対戦ゲーム「League of Legends(LoL)」が、ターン制の戦略カードゲームに比べ、一部の認知機能の向上で優位性を示したとする研究結果が明らかになった。効果はゲームの中断後も続き、10週後まで維持されたという。
中国・電子科技大学の研究チームは、2025年12月に学術誌に発表した論文で、ゲームジャンルの違いが認知機能に及ぼす影響を比較した。対象としたのは、MOBAの「League of Legends」と、ターン制戦略カードゲーム「Sanguosha」だ。
研究では、直近1年間のゲーム経験が50時間未満の大学生68人を募集した。参加者は週5日、1日1時間、5カ月にわたってそれぞれのゲームをプレイした。
研究チームは、プレイ開始前から実験終了10週後までの間に、計6回の認知課題と5回の脳波測定を実施した。
その結果、認知能力は両グループで向上した。3種類の認知課題すべてで成績の改善が確認され、研究チームは、ゲームの種類を問わず、認知負荷の高い活動を継続することが脳機能の強化につながるという従来の見方を裏付ける結果だとしている。
一方で、ジャンルによる差も表れた。LoLをプレイしたグループは、素早い状況判断や複数目標の追跡を求められる課題で、Sanguoshaのグループを有意に上回る成績を示した。
この差は、ゲームを中断した10週後も維持され、一部の指標ではさらに広がった。研究チームは、LoLの方が効果の強さと持続性の両面で上回ったと評価している。
脳波分析でも変化が見られた。両グループで、低周波帯のデルタ波とシータ波のパワーが増加し、アルファ帯では脳領域間の結合性が低下した。
研究チームは、デルタ波とシータ波の増加について、学習能力や適応能力の強化を示すシグナルと解釈した。アルファ帯の結合性低下は、不要な情報のやり取りが抑えられ、より効率的な状態になったことを示す可能性があるとしている。
こうした変化の幅は、リアルタイムゲームをプレイしたグループの方が大きかった。特にアルファ帯の結合性低下については、脳ネットワークの効率が高まり、エネルギー消費が減った結果である可能性があると説明した。
また、効果の持続性も確認された。ゲーム中断から10週後の時点でも、認知課題の成績と脳波の変化は維持され、指標によっては強まる傾向も見られた。研究チームは、プレイ終了後も脳の再編成が進んだ可能性があるとみている。
今回の研究は、ゲームが認知機能に与える影響をジャンルごとに切り分けて検証した点に意義がある。リアルタイムの意思決定やマルチタスク処理を中心とする構造か、論理的推論や長期的な戦略を重視する構造かによって、認知機能の変化の現れ方が異なる可能性を示した。
研究チームは、両ゲームとも認知機能の向上と脳機能の変化に前向きな影響を与えた一方、一部の指標ではLoLの方が変化の大きさと持続性で上回ったと結論付けた。