プライバシー強化技術(PET)を手掛けるDESILOは4月28日、第5世代の完全準同型暗号(FHE)技術「GLスキーム(Gentry-Lee Scheme)」を実装した商用ソフトウェアの提供を始めたと発表した。暗号化したデータのままAIモデルの学習や推論を行う「プライベートAI」の実用化を後押しするとしている。
DESILOによると、準同型暗号は元データを復号せず、暗号化した状態のまま演算できる暗号技術だ。従来は演算コストの高さが課題で、AI計算の中核となる行列乗算の処理では速度面に制約があったという。
GLスキームは、準同型暗号の創始者であるクレイグ・ジェントリー氏と、CornamiのシニアサイエンティストでDESILOのシニアサイエンティストでもあるイ・ヨンウ氏が共同開発した第5世代の準同型暗号アルゴリズムだ。行列乗算の演算効率を高めた点を特徴とする。
今回提供を始めた「DESILO FHE Library」は、この第5世代準同型暗号を商用ソフトウェアとして実装した製品。企業での実運用を見据え、CPUなどの一般的な計算環境に加え、高性能GPU環境でも高速に動作するよう最適化した。AI開発で広く使われるPythonにも標準対応する。
イ・ヨンウ氏は「行列乗算は、現代のAIシステムにおける中核的なワークロードだ。GLスキームを適用したDESILOのソフトウェアは、準同型暗号環境でこの中核演算の処理方式を改善し、理論段階にとどまっていたプライベートAIを実際の産業環境に展開するための技術基盤になる」とコメントした。
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