Juniper Researchは、ステーブルコインを活用した越境B2B決済額が2035年に5兆ドルに達するとの予測を公表した。企業間取引がステーブルコイン取引価値全体の85%を占めるとみており、既存のコルレス銀行ネットワークにも変化を促す可能性がある。
CoinDeskが27日(現地時間)に報じたところによると、Juniper Researchは最新リポートで、越境B2B分野におけるステーブルコイン決済が今年の推計値から2035年までに373倍に拡大するとの見通しを示した。
レポートが注目するのは、ステーブルコインが企業の海外送金・決済において、もはやニッチな手段ではなく、インフラとして定着しつつある点だ。2035年には、ステーブルコイン取引価値全体の85%を企業間取引が占めると試算した。
Juniper Researchは、法定通貨に連動するステーブルコインが、投機的な資産から機関投資家・企業向け決済を支える基盤インフラへと役割を広げていると分析する。すでに越境の企業取引や財務業務、サプライチェーン決済への組み込みが進んでおり、プログラマビリティや24時間365日対応の決済機能が、従来のコルレス銀行ネットワークに対する優位性になっているという。
その結果、既存のコルレス銀行チャネルにも見直しを迫る動きが出ている。Juniper Researchは、従来は金融機関が担ってきた越境決済の非効率を、ステーブルコインが段階的に解消しつつあると指摘した。一方で、決済インフラ全体を一気に置き換えるのではなく、優位性が明確な領域から導入が進んでいると説明している。
Juniper Researchのアナリスト、ジャワド・ジャハン氏は、ステーブルコインが決済インフラを全面的に代替するわけではないとしたうえで、越境B2B決済はその利点が最も表れやすい分野だと指摘した。予測期間を通じて、最も持続的な取引量の増加が見込まれる領域だという。
市場では特に、企業財務とサプライチェーン決済への波及効果に関心が集まっている。消費者向け決済より取引単価の大きい企業間決済で効率性が先に実証されれば、ステーブルコイン発行体と企業の連携需要が急速に高まる可能性があるためだ。
ジャハン氏は、こうした流れを踏まえれば、ステーブルコイン発行体は企業システムとの統合や財務分野でのパートナーシップ強化に注力することで、成長機会の大半を取り込めるとの見方を示した。
同様の見方は、別の市場調査にも表れている。Chainalysisは今月初め、ステーブルコインがグローバル金融の基盤インフラになり得ると分析し、調整後取引量が2035年に719兆ドルに達する可能性があると試算した。
Chainalysisは、暗号資産が次世代の基礎的な金融手段として定着した場合、焦点は既存の決済ネットワークと競争するかどうかではなく、どの程度のスピードで代替が進むかに移ると指摘している。
今後の焦点は、ステーブルコイン発行体が実際の企業決済システムや財務運用にどこまで深く入り込めるかだ。越境B2B決済で取引規模の拡大が続けば、競争力の源泉は単なる速度やコストの優位にとどまらず、企業向け決済インフラ全体の構造変化につながる可能性がある。