OpenAIは、2018年以来となる中核的な運営原則の大幅改定を実施した。従来は人工一般知能(AGI)を前面に掲げていたが、今回の見直しでは競争力やAIインフラ、AIエコシステム全体へと軸足を移した。
Business Insiderが27日(現地時間)に報じたところによると、サム・アルトマンCEOは同日、ブログを通じてフロンティアモデルの研究に向けた5つの新原則を公表した。2018年の憲章以降では最大規模の見直しとなる。
今回の改定で最も目立つのは、AGIを中心に据えた色彩が薄れたことだ。2018年の文書ではAGIへの言及が12回に上り、組織の存在意義や社会的責任もAGIへの対応と強く結び付けられていた。
これに対し、新たな文書でのAGIへの言及は2回にとどまった。代わって、AIの能力向上が段階的に広がるなかで、社会も各段階に応じて適応していく必要があると強調。従来の「段階的な導入戦略」を拡張する考え方だと説明した。
競争に対する姿勢も見直した。これまでは、他のプロジェクトがより安全な形でAGIに近づく場合、競争をやめて協調に転じる可能性があるとしていたが、今回の文書ではこの記述を削除した。
一方で、自社の影響力拡大を踏まえ、運営原則を変更する時期や理由について、これまで以上に透明性を持って開示すると明記した。広く共有される繁栄という目標は維持しつつ、必要に応じて一部への権限集中を抑え、より高いレジリエンスを優先し得る点にも言及している。
こうした見直しの背景には、足元の競争環境の変化もある。OpenAIはここ数カ月、Anthropicとの競争を強めている。
Anthropicは「Claude」モデルの高度化を武器に存在感を高めており、企業価値でOpenAIを上回ったとの見方も出ている。
文書の射程も変化した。2018年の憲章がOpenAI内部の原則や責任を重視していたのに対し、今回はAIエコシステム全体への提言に近い内容へと広がっている。
AIを巡る意思決定は少数の研究所に集中すべきではなく、より民主的に行われるべきだと強調したほか、各国政府に対しては新たな経済の枠組みを検討するよう促した。
また、AIコストの引き下げにはグローバル規模での大規模インフラ整備が欠かせないとも指摘した。データセンターや計算資源の確保を巡る競争が激化する足元の潮流とも重なる。
OpenAIは2015年12月、非営利の研究機関として発足した。その後、営利構造への転換を進める過程で共同創業者の一部が離脱するなど、組織のあり方は大きく変化してきた。今回の改定は、創業初期の公益・協調重視の路線から一歩進み、市場競争と事業拡大の局面に合わせて運営基準を再定義したものといえそうだ。今後、この原則が製品投入や安全政策、競合への対応にどう反映されるかが注目される。